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2012年07月18日 前へ 前へ次へ 次へ

秀でた演技と文章に共通する適格さ

 ロンドン五輪の特集番組で、金メダルを期待される内村航平選手について体操競技の専門家がこう話していた。彼の強さの秘訣は着地、それも「文章に句読点を打つような着地」にあると。演技も文章も、秀でたものには適確な「。」が打たれている▼作家の高橋源一郎氏が、世界で最も文章がうまい人として、アップル元CEOのスティーブ・ジョブズの名をあげている。引用したのはスタンフォード大の卒業式でのスピーチ。「今日は私の人生から学んだ3つのストーリーを紹介しましょう。それだけです。たった3つのストーリーにすぎません...」。余分なことを削ぎ内容を絞り込み、これから始まる話に聴衆を引き込む▼先週の九州豪雨で、気象庁が「短文」による警報を初めて発した。「これまでに経験したことのないような大雨」。緊迫感がひしひしと伝わってきた。土砂災害などのリスクが差し迫った時に、自治体向け情報端末やホームページなどで発表する。乱発せず、今回のように"ここぞ"という時に限るべきだ。"またか"と思われては元も子もない。文面を時には変える工夫も必要だ▼「国民の生活が第一」という、分かりやすい短文のような名称の政党も誕生した。こちらは、政策も行動も国民に分かりやすく、と願いたい▼「短夜を書きつづけ今どこにいる」(六林男)


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