電材大手のグローバル展開 基本は需要地で稼ぐ
電子材料大手が持続的な成長を目指しグローバル化に大きく動いている。国内エレクトロニクス業界は外資の支援をうけての再建に必至だが、電材業界は、「需要があるところで事業を行う」(JSRほか)ことが基本戦略。各社の海外売上比率はますます高まり、「50%、60%にしたい」(日立化成工業)などと、主戦場が変わっていく。現地市場の開拓のために生産だけではなく、研究開発機能までも現地化が進む方向にある。円高や電力不足といった目先の課題にとらわれがちだが、より根本的な「需要地が変わる」という現実がグローバル経営を迫っている。日本ならではの高い品質による差別化が海外でもカギになる。
半導体や薄型テレビ、スマートフォンといったエレクトロニクス製品は日本から東南アジアや中国へと生産拠点が移ってしまった。今後もタイやベトナム、インドへの投資は増え続け、生産拠点としての日本のポジションは低下する傾向にある。
こうしたなか韓国・台湾と欧米に生産と開発拠点を構えるJSRは、「ユーザーの近くで生産するのは当然。最初は生産の現地化だが技術支援、研究開発と進むのは自然の流れ」(小柴満信社長)とみる。
日立化成工業も、「ユーザーのいないところで事業はできない」(田中一行社長)として海外売り上げを現状の40%台前半から60%にまで高める意向。同社は海外拠点を充実した結果、「中国では現地採用の従業員が現地の要求に応えた製品を開発できるようになった」という。
東京応化工業も先端フォトレジストの売り上げは海外が主体、「日本市場にこだわらずフレキシブルに変わっていかねばならない」(阿久津郁夫社長)としている。
一方新興企業の安値商品も昨年の大震災以降、台頭してきた。これに対しては日本製品ならではの、「安心・安全の訴求が差別化のキーワードになっている」(阿久津社長)。「欧州では風力発電用大型コンデンサーは当社製品が標準。値段は高くても信頼性が評価されている」(田中社長)、「信頼性の必要なものには日本製のレジストが使われる」(小柴社長)などと、十分に強みを発揮している。
原材料の調達網は大震災を機に大きく広がったが、さまざまの材料をすり合わせて最適化するのは日本ならではの技術であり、これからも差別化の要となっていく。