原料視点で取り組むバイオプラ開発
植物資源を原料にするバイオプラスチックが注目されて久しいが、石油系原料を代替して本格的に普及するには課題も多い。コストや物性のほか、原料の安定調達の問題もあって構造部材など信頼性が要求される用途展開は簡単でない。経済産業省は、製紙会社と化学会社が連携して非可食の木質系原料を活用する構想を打ち出し、2013年度予算で要求する。CO2削減効果に加え、製紙会社は利用分野が限られているセルロース成分など木質系原料の高付加価値化に寄与する一方、化学会社はナフサ依存の原料構造から多様化が見込める。
化石資源依存型産業からの転換は、日本経済の課題であり、政府の科学技術基本計画においても最重点テーマに位置付けている。化学産業は原燃料の大半を石油に依存するため、持続的成長の実現には非化石資源の活用に前向きに取り組む必要がある。今年度から太陽エネルギーを活用して、光触媒で水から水素を製造して基幹化学品を製造する人工光合成プロジェクトも動き出している。
ポリ乳酸やポリエチレンなどバイオマス原料のプラスチックが実用化されているが、トウモロコシやサトウキビという可食性植物資源を原料とするため食糧増産を阻害すると指摘されてきた。このため、木質系や草本系原料に転換を目指した研究も始まっている。現在は燃料用エタノールが中心だが、資源制約や経済性の問題もあって日本の取り組みは遅れがちだ。バイオマス由来の研究開発は長期化し、資金負担も大きいことで、国が主導的役わりを果たすことが期待されている。
経産省は木質系などの非可食性植物資源から高効率触媒などでセルロース、ヘミセルロース、リグニンに変換して、多様な化学製品を生産する開発プロジェクトに乗り出す。バイオエタノール製造の開発にとどまらずポリエチレンなど幅広いプラスチックや化学品を含めた技術開発を目標とする。
ヘミセルロースやリグニンによる化学原料化の実績はなく、製紙会社のバイオマス活用はチップ化して燃料にすることが一般的という。製紙業界は輸入を含めた年間約1600万トンの木材チップを使用しているが、その一部をプラスチック原料に転換できれば高付加価値化、高機能化が進むとして関心を示している。経産省では、木質系バイオマスからC5・C6糖など基幹物質生産を委託事業に振り向けることで開発を加速する。
化石資源に対抗するにはコストダウンなど課題も多いが、世界をリードするバイオプラスチック・化学品製造技術確立への挑戦を注目したい。