【連載】商機到来 インドネシア エネ資源多様化(下)
電力不足解消へ民間活用
地熱などエネ資源を多様化
※IPP促進に期待※
インドネシアは経済発展にともない、電力需給が常に綱渡りの状態。同国の電力需要は2019年まで年率9・2%の勢いで拡大する見通しで、これを賄うには毎年新たに5500メガワット分の発電所が必要とされている。電力不足の解消を目指し、同国政府は06年に総額48億ドル、低品位炭を使用した合計1万メガワットの火力発電所建設計画を策定している。電源開発に向けた政策は推進されているものの、国営電力公社(PLN)の自己資金調達は5割程度。このため独立発電事業(IPP)の促進に期待がかかっている。
三井物産は同国初のIPP事業となるパイトン1でプライムコントラクターを担当、建設から操業まで一括事業を展開している。今年3月からは超臨界石炭火力発電パイトン3の運転を開始したばかりだ。カリマンタン、スマトラを中心に多数の石炭火力発電所の建設が計画されているが、建設地は限られるため発電コストの競争力の高い地熱を組み合わせる方向にある。
同国には世界最大級規模となる2万8000メガワットもの地熱が潜在しているが、開発はこれまでのところ1200メガワットにとどまる。政府は石油の輸出優先のためにエネルギー消費の構造改革を推進しており、10年後には地熱発電量を10倍に増やす計画。また、25年までに新・再生可能エネルギーの比率を25%に高める方針を打ち出している。
日本は地熱発電タービンにおいて世界で70%以上のシェアを持つ。JFEエンジニアリングのインドネシア現地法人は、今年4月にパトハ地熱発電所の蒸気供給設備の設計・施工を受注。270カ所にものぼる開発候補地を注視するとともに、新増設が進むセメントなど工場の排熱回収の提案を進めている。
【 インドネシアは地熱の潜在量が世界最大規模とさされる。このため地熱発電の成長が見込まれている(パトハ地熱発電所) 】
※ごみ焼却も対象に※
都市化にともない増大する廃棄物も貴重なエネルギー資源となる。先日、ジャカルタで同国初となるごみ焼却設備の建設・運営・譲渡(BOT)案件の事業化前審査が行われた。埋め立て処分場が限界に達しつつあるなかで、新たな処分用地を確保することは難しく、焼却処理の必要性が高まっている。一方、現在はごみの収集を当局や民間人が無秩序に行っているため、ごみに含まれる有価物の回収システムが確立されていない。加えて、ごみの処理費用やPLNへの売電価格は交渉段階にある。
中央政府はこうしたインフラ整備を民間主導で進めようとしているが、実現には時間がかかりそうだ。しかし、事業環境が整うのを待っているわけにもいかない。JFEエンジのインドネシア現地法人の下間郁夫社長は、「社会インフラ整備に熱心に取り組んでいる現政権下で年をめどに、仕組みを作る段階から事業をしかけていく」と意気込む。
※低品位炭を原料に※
1次エネルギー源の主体が石炭へシフトしつつあるが、国内炭の約8割は低品位炭。褐炭改質や石炭ガス化などのクリーンコール技術の活用にも商機が広がっている。日揮は今年5月からジャカルタ東部のカラワンで、低品位炭を原料とする液体燃料製造実証プラントの運転を開始。燃料のできる過程を潜在ユーザーにアピールするのが目的で、製品は無料で配布している。ユーザーを確保できれば年産100万トンの商業プラントを建設する計画で、15年をめどに同国内での低品位炭の権益確保から製造、製品を燃料とした発電などサプライチェーンの創出を目指している。