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2012年06月28日 前へ 前へ次へ 次へ

安全文化構築に継続的な取り組みを

 化学工場において、無災害に向けた取り組みは最重要課題だが、昨年11月の東ソー南陽事業所に続いて、4月には三井化学岩国大竹工場で爆発火災事故が発生、甚大な被害をもたらした。労働災害では大阪府の印刷工場で有機溶剤のばく露による胆管がんが発症している。「絶対安全」を宣言できないことは残念ながら現実だが、妥協を許さず、終わりのない事故根絶を目指した安全活動のレベルアップを求めたい。
 日本化学工業協会は、1977年から業界における自主的な保安・安全衛生推進の一環に、優れた安全活動を実施して模範となる事業所を表彰してきた。2年前に制度の見直しを行い、今回は応募のあった19事業所から、安全最優秀賞にJSR四日市工場、安全優秀賞に昭和電工横浜事業所、JNC水俣製造所を選定した。その活動報告を中心とする安全シンポジウムがこのほど都内で開催された。
 今回表彰された事業所は、過去に発生した事故を教訓として生かしている。JSR四日市は1994年にブタジエンによるボンベ爆発事故を起こした。これを契機に「絶対に事故、災害を起こさない」という決意で工場全体を網羅する安全マネジメントシステムとして構築した。昨年11月に無災害1790万時間を達成、現在も継続中だ。JNCも40年近く前の千葉・市原のポリプロピレン爆発事故をはじめ、過去災害を安全教育に活用している。
 受賞した事業所は事前安全評価やリスクアセスメントなどを導入、災害や危険の芽をつぶす努力を重ねている。またヒューマンエラー対策として危険体験講座を実施したり、現場経験に基づく安全事例集を作成して無災害につなげている。
 最近の事故を踏まえた議論もあった。定常運転によるトラブルよりも運転停止・再開時など非定常時の危険が大きいことからKY(危険予知)活動の徹底に力を入れる必要があるという。あらゆるプラントに熟知した現場の技術者育成の重要性も指摘された。東日本大震災を契機に津波・地震、台風など自然災害対策も迫られている。ただ、個別事業所の対応では限界があり、地域の事業所や自治体などとの連携強化が急がれる。
 無災害を実現するために不可欠になってくるのは、工事関係者や現場作業に携わる協力会社との連携である。従業員に行うような直接的な指導が難しいこともあって試行錯誤が続いているようだが、あらゆる点で情報伝達が大切になる。無災害を継続するには、「安全文化をいかに根付かせるか」が問われる。日化協など業界団体、政府や地方自治体の役わりも大きい。


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