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2012年06月26日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】迫る節電の夏 どうする関西企業(1)

化学工場への影響大きく

 関西電力・大飯原子力発電所3、4号機の再稼働が決まった。関電の節電目標は3号機のフル稼働で15%から10%に引き下げられ、電力需給のひっ迫による生産への影響を懸念した化学業界は一息ついた格好だ。しかし、計画停電の可能性は消えておらず、各社の危機感はいぜん強い。関電管内に工場を持つ各社の動きを追った。

※長時間反応難しく※
 関西化学工業協会は今月5日、資源エネルギー庁から電力対策の担当者を招き今夏の電力需給をテーマに説明会を開いた。大きな関心事だけに会合には多くの関係者が集まった。化学工場は多様な装置が稼働しており、電力問題は歩留まりや品質など幅広く影響する可能性がある。
 「反応をともなう化学の製造現場は組立工場などと比べると計画停電のダメージが比較にならないぐらい大きい。化学反応は長時間に及ぶものも多く、計画停電されるとその日は仕事にならず大きな損失を被る」。ファインケミカル専業のスガイ化学工業の長岡雅次社長は、厳しい表情で業界が直面している窮状をこのように話す。
 別のメーカー幹部は「化学工場にとっては突然の停電が最も怖い。化学プラントには非常停止の装置が備わっているからプラントが暴走することはないが、毒ガスの発生や爆発の危険がゼロではない。そのことを国や行政は分かっているのか」と憤りを隠せない様子だ。日本の化学企業、とくに中小メーカーは中国など新興国の攻勢や顧客の海外シフトで収益性が悪化。そこに超円高や電力問題が加わり、経営環境は厳しさを増している。「電力問題の混乱が長引けば、廃業や倒産に追い込まれる企業が出ても不思議ではない」(専門商社役員)。

※計画停電で減産も※
本州化学和歌山工場.JPG 本州化学工業は和歌山市に中核工場(写真)を置き、ビスフェノールなどを生産している。和歌山工場の担当者は節電目標が15%に設定されていた段階で「できうる限りの努力はするが、今夏の節電期間を通して安定的に目標を達成するのは当社のような業態では難しいといわざるを得ない」としている。和歌山工場は使用電力の半分程度を賄える自家発電を設置しているが、ファインケミカル系の工場としては大規模で電力使用量も多い。
 対策としては、節電期間中は電力消費量が多かったり反応に時間がかかったりする製品の製造を見合わせる方法などがある。ただ、今夏は定期修理に入るプラントが多く、「節電効果が期待できる省エネ対応の生産品目を節電期間中にうまく割り当てられない可能性もある」(同)と不安を抱いている。
 また、「もし大規模な計画停電が実施されれば減産に踏み切らざるを得ない」(同)としており、顧客からの問い合わせが相次いでいるようだ。このため、同社はコージェネレーションシステムの新設を検討し始めたが、今夏中には間に合いそうになく今後の電力需給の動向によっては綱渡りの生産が続くかもしれない。
(了)


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