EUとのEPA締結へ交渉を急げ
環太平洋経済連携協定(TPP)や日中韓自由貿易協定(FTA)と並んで、重要性が高いEUとの経済連携協定(EPA)の動きが具体化してきた。日本とEU政府関係者はこのほど、FTAおよびEPAの交渉の範囲などを決めるスコーピング作業を終えた。欧州委員会はこれを受けて、日本との交渉開始のための委任を加盟国からとりつける考えだ。
TPPは、先の野田首相とオバマ米大統領との首脳会談で進展が期待されたが、具体的な成果は得られていない。こうしたなかで、日中韓FTAは具体化への下準備が進みつつある。
日・EUのEPAは、日本経済の成長戦略を探る重要な柱の一つである。経団連は2007年以降、数回にわたってその重要性を指摘した提言をまとめる一方、交渉開始へ向けた環境整備を進めてきた。そして昨年5月、日・EU定期首脳会議でスコーピング作業の開始が合意され協議がスタート、ほぼ1年で作業を完了した。
経団連などが強調しているのは、「双方の経済活動を包括的にカバーして透明性の高い自由で安定的な事業環境を実現する」という基本指針だ。具体的には、関税分類・免除措置の変更、貿易救済措置の調査開始に関わる通報・協議などについての透明性の確保のほか、?規制の導入や改変の通報・協議とともに、規制の整合性の確保?規格および適合性評価手続きの調和・相互承認の推進?新技術開発の協力枠組みの確立や標準化の推進?特許庁間の協力?政府調達市場へのアクセス改善?第3国市場協力の推進などである。
欧州委員会は10年、「EU2020戦略の中核要素としての通商政策」とする新しい通商戦略を策定したが、ここでは日本をはじめとする戦略的パートナーとの関係強化が打ち出されている。経済連携協定はその重要な柱である。日本・EU間の貿易はリーマン・ショックによる落ち込みから回復過程にある。10年の日本からEUへの輸出額は約7兆6000億円で、中国、米国、ASEANに次ぐ。一方、EUからの輸入は5兆8000億円とほぼ米国と拮抗している。
今回、スコーピング作業が終了したことで、交渉開始への次のステップに入る。EU側には、日本とのFTA/EPA締結で対日輸出が最大50%、金額にして290億ユーロ増加するとの試算がある。金融危機に揺れるEUだが、日本経済の重要なパートナーであることは変わらない。欧州議会には、わが国の非関税障壁など市場開放が不十分という批判もあるようだが、長期的な視点から、経済連携に取り組む必要がある。