半導体用高純度シリコン ウエハー需要は回復基調
半導体製造用高純度シリコンの市況が回復してきた。震災や欧州景気の低迷から半導体市場は落ち込んでいたが、今年に入って在庫調整が一段落し回復基調が鮮明になってきた。需要を牽引するのはスマートフォンやタブレットパソコンのおう盛な売れ行きであり、これらにつかう最先端プロセス半導体向けウエハーは品薄感も出てきた。また、省エネ機器につかうパワー半導体向け需要も底堅い。ポリシリコンも需給バランスがとれつつある。
積極的な設備投資が裏目に出て大規模なリストラを余儀なくされているSUMCOは、2〜4月期の営業利益が29億円と、前期(11〜1月)の54億円の赤字から大幅に改善した。ウエハー業界が一斉に生産調整を行っている口径200ミリメートルウエハー製品も、「鏡面タイプが一時的な品薄状態になっている」という。300ミリメートル口径のエピタキシャルタイプも好調。だが一気に増産はせず、「逐次増産することで常にフル操業状態にして回収を早める」と、収益重視の方針。
業界トップの信越半導体も、「底を脱した」とみる。軟化していた価格も戻りつつあるようだ。背景にあるのはスマートフォン向け高性能半導体のおう盛な需要であり、線幅28ナノメートル以下の先端製品向けが増えている。震災後、ユーザーのなかには従来よりも在庫を増やすなど、BCP(事業継続計画)を重視するところもみられる。同社も原材料である金属ケイ素の在庫を、「手厚くした」という。
一方ウエハー材料のポリシリコンは、「価格は弱含みながら、後半には需要が回復しそうだ」(トクヤマ)。太陽電池向けポリシリコンに経営リソースを集中するトクヤマだが、半導体向けもプロセス改善を進めて生産性を高めていく。米ヘムロックセミコンダクターも収益は回復基調にあり、大株主である信越化学工業の持分法利益に貢献している。
半導体市場は急速な成長は見込めず、世界の300ミリメートルウエハー月産能力は当分約500万枚で推移するとみられる。口径450ミリメートルへの移行にも時間がかかる。半導体メーカーはプロセスの微細化によってウエハー1枚あたりのチップ取得数を増やしているだけに、ウエハー業界は次世代プロセス対応が最大の課題である。
【写真説明】「半導体用ウエハーの生産能力は堅調に推移する見通し」