持続的成長の維持に軸足を移す中国
世界経済に不透明感が漂うなか、中国政府が打ち出した自動車税減免措置、民間投資に対する税制優遇措置などの景気対策が注目されている。2008年から09年の世界同時不況の時期に、中国政府が実施した公共投資を中心とする4兆元の大型景気刺激策に匹敵する景気対策を期待する見方をあるが、財政面の制約もあって「持続的成長の維持」に軸足を置いた対策になるだろう。
今回の景気対策で注目されるのは、免税措置などの重点的分野として、事業のグレードアップや革新・刷新投資、環境保護・安全対策、新エネルギー分野、社会基盤充実などの領域に取り組む姿勢を打ち出したことだ。リーマン後の景気対策が財政悪化に加え、過剰投資の拡大や国有企業による寡占化など弊害を生み出した反省を踏まえて、やみ雲な産業の拡大路線や投資一辺倒という表現を一切使っていない。
自動車の免税措置も政府が定める省エネ対応車種、純電気自動車、プラグインハイブリッド車という環境対応車に限定する方針を明確化している。また、民間投資に関わる税制優遇措置の対象は6分野・33項目に絞っているが、基幹産業、社会インフラ産業のほか、低所得層向け住宅分野投資に対する大幅免税措置、民間企業の自主的な革新投資、老朽設備の更新や競争体質から脱却するための設備投資など、細かく優遇免税措置を定めている。
さらに、国有企業や国が管理している基幹産業、社会基盤関連への民間投資や民間開放も早期に促進していくことを明らかにしている。中国政府が明確に民営部門の強化、民間開放促進を通じて、事業構造を大きく改革していこうという国の姿勢を示し、政策として誘導する方針が強くうかがえる。
これまでの経済成長一辺倒による弊害、前回の4兆元の大型景気対策の後遺症が顕在化するなかで、持続的経済成長に舵を切ったといえそうだ。民間投資を活用した内需の高度化、付加価値化による競争力向上と質的変革を図り、7%前後の経済成長を実現し、これを維持していく考えだ。
折しも、今秋には10年に1度となる政治指導者の交代を迎える。これまで繰り広げられている政治闘争に内外メディアの注目が集まるが、こうした権力争いの背景に、これからの中国の経済成長や持続的発展に向けた模索が始まっているのではないか。持続的成長に向けた施策は、目先の景気対策だけでなく長期的に視野に立ったものも含まれる。中国で事業を展開する日本企業も注意深くウオッチしていく必要があろう。