カルテル根絶に向けて体制再点検を
企業規模に係わらず法令順守(コンプライアンス)の重要性が高まっているが、独占禁止法など競争法違反が根絶できない。公正取引委員会はこのほど、2011年度の独禁法違反事件の処理状況を公表したが、入札談合や価格カルテルなどに対する法的措置は件、課徴金納付命令は443億円と高水準である。また、自動車用ワイヤーハーネスでは海外の競争当局と協力して課徴金納付命令を出した。競争法コンプライアンス体制の見直しが迫られている。
公取委によると、22件の法的措置の内訳は入札談合12件、価格カルテル5件、優越的地位の濫用3件、取引妨害・再販売価格拘束2件となっている。課徴金額の大きい価格カルテルを行ったのはエアセパレートガス、LPガス容器や同供給機器、VVFケーブルなどで、全体の課徴金額は前年度より減少したものの、過去2番目の多さだ。
国際カルテルが厳しく摘発されるのも最近の特徴だ。マリンホース、テレビ用ブラウン管では課徴金納付命令を含めて法的措置が講じられたが、11年度はワイヤーハーネスのカルテルに課徴金納付命令を下した。
欧州委員会、米国司法省が摘発したカルテルも増加、ファスナー、自動車用ガラス、液晶パネルなどでは高額な制裁金が課せられた。公取委は海外競争当局と情報交換を密にしており、競争法コンプライアンスはボーダーレスに対応しなくてはならない時代だ。
産業界は、リスク対策のなかで法令順守は最優先課題という認識は深まっている。とくにカルテル行為は企業業績のみならず、社会的評価の失墜につながる。「違反行為をしない」だけでなく「違反を疑われる行為、状況を減らす」ことを念頭においた体制整備が必要である。
経済産業省が一昨年策定した「競争法コンプライアンス体制に関する研究会報告書」では、国際的な競争法執行強化を踏まえた企業・事業者団体の対応を示した。この骨子は明らかなカルテルのみではなく、カルテルを疑われないという観点から、幅広く競合他社との接触を制限する「予防」。完全に競争法違反リスクを無くすことはできないという認識で早期に問題行為の「発見」。そして違反行為を発見した場合に迅速に対応する「発覚後の対応」の3点が重要としている。
さらに、わが国では競合他社が接触する場である事業者団体が、競争法上のリスクが数多く存在することを認識して会合の運営と、統計情報の収集・整理・提供の2点に関するルールの策定・整備を指摘した。カルテル根絶に向けて、団体の再点検も必要だ。