業界団体は広がる課題に積極挑戦を
事業者団体の総会シーズンである。化学業界は多様な製品で構成されていることもあって団体数が多いが、直面する課題も多岐にわたっている。政策提言のほか、化学物質管理や地球温暖化対策など環境・安全問題の重要性が増し、しかも国際的な取り組みが求められている。
日本化学工業協会(日化協)には80に近い団体が加入し、これまでも「化学は業界団体が多すぎる」という批判は根強かった。経費削減の一環に、活動を抜本的に見直して集約化した団体もあったが、個別企業では対応できない課題が多いことの裏返しでもある。
業界団体で優先順位の高いのは、政策に対して適切な情報発信だ。化学業界の存立の基盤を揺るがしたナフサ課税の動きには、石油化学工業協会を先頭に反対活動を展開した。2012年度税制改正では「当分の間の措置」としながらも、実質免税恒久化を実現したが、国際的な原料非課税の原則からみれば当然の権利である。
同様に、再生可能エネルギー固定買取制度の導入では、カ性ソーダなど電力多消費産業の負担軽減措置を実現した。この特例措置はドイツでも導入され、経済活動の基盤を支える産業が国際的にイコールフッティングで競争するために不可欠とする日本ソーダ工業会などの主張を受け入れたものだ。合理性を欠いている容器包装リサイクル法の材料リサイクル優先など改善が必要な政策は残っている。
団体の活動で優先度が高まっているのは化学物質管理、地球温暖化を含めた環境・安全問題。化学物質は健康被害や環境負荷を与える可能性があり、適切なリスク管理が必要だが、同時に有用性を訴えることも大切だ。化学産業はCO2を大量に排出しているが、一方で化学製品によるCO2削減効果も大きく、定量的分析による情報発信が求められる。国際的な規制への対応も迫られ、業界団体が主導的役割を果たすべきである。国際標準化も団体の出番だ。
塩化ビニル樹脂によるダイオキシン問題を契機に発足した塩ビ工業・環境協会は、「塩ビものづくりコンテスト」など塩ビ見直しに向けた取り組みを強化している。また、日化協などは「夢・化学21」キャンペーン事業を通じて、化学のイメージアップを進めている。小中学校への出前講座や実験ショーを手掛ける団体も多い。さらに大学の博士課程の学生を対象に人材育成支援も始まっている。
かつて業界団体は価格カルテルの温床になりがちだったが、法令順守の徹底は最優先だ。そのうえで、化学産業の競争力を高め、魅力的にする活動に挑戦してほしい。