シンガポールの人件費上昇
ジュロン島での石油化学投資計画を追ってシンガポール支局を立ち上げて間もないころ、配偶者ビザで就労可能な日本人を雇用したことがある。最大のメリットは英語を話せる人材を比較的安く雇えることだった▼半年ほど経って配偶者ビザの資格を失ったことで、通常の外国人就労ビザに切り換えた。仕事も覚えて、現地の化学業界とも顔なじみになったことで雇用を継続したかった。ただ、給料は一気に30%近く上がり、本社への事情説明と経費削減に苦労した▼シンガポールの発展を引っ張ってきた外国企業はいま、同国の外国人就労ビザ制度の変更に戸惑いを覚えているようだ。とりわけ、月額200-1000シンガポールドルの賃金引き上げは頭痛の種になっている▼日系企業には現地採用の日本人社員も少なくない。日本より住みやすいシンガポールは若い女性に人気がある。現地で国際感覚を磨くという目的もある。問題は最低賃金を保障しても、ビザの取得や更新が確実とはいえないらしい▼制度変更の狙いは、自国民の雇用の促進。また中国系を中心とする外国人への反発が強まっているという。政権与党の支持率低下が、内向きの政策を促進しているという見方もある。あす26日、重要な補選が行われる。投票結果は、外国企業にとっても高みの見物ではない。