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2012年05月22日 前へ 前へ次へ 次へ

成長する海外農薬市場で事業拡大を

 世界の農薬市場が拡大している。英国の調査会社フィリップス・マクドゥーガルの調べによると、2011年は前年比約15%増の440億1500万ドルとなった。08年に404億7500万ドルと400億ドル台に達したものの、世界経済の低迷による作物価格下落や天候不順などで09、10年は400億ドルを下回ったが、ここに来て再び拡大に転じた。背景にはトウモロコシや大豆などの作付面積の拡大がある。トウモロコシは最終用途が広いうえ、バイオ燃料向けの需要もある。大豆は中国での需要が増えている。
 世界大手農薬メーカーのほとんどは種子ビジネスも展開している。最大手のスイス・シンジェンタは、トウモロコシと大豆の売上高がアジア太平洋地域を除く、欧州や北米、ラテンアメリカなどすべての地域で二ケタ成長を遂げた。北米ではトウモロコシの作付面積が増え、同社は市場シェアを約11%にまで増やした。ラテンアメリカ地域でのトウモロコシおよび大豆の総売上高は前年比38%増えた。もちろんトウモロコシや大豆向け農薬の販売も好調だった。
 種子事業で世界最大手の米モンサントもトウモロコシや大豆の新製品が好調で業績を牽引した。同社は、除草剤耐性の種子と自社の非選択性除草剤をセットで販売できる強みがある。とりわけトウモロコシの9割弱、大豆の9割強が遺伝子組み換え作物になっている米国で高いシェアを持つ。
 欧米大手は利益率も高くシンジェンタのEBITDAは21・9%、バイエル クロップサイエンスは22・8%だった。
 一方、わが国の農薬市場は、11農薬年度が前年度比0・9%増の3318億7100万円と微増だった。ただ、国内は需要の大きな拡大要因が見当たらず、国内メーカーには海外展開を進めることが迫られている。
 国内最大手の住友化学が先ごろ発表した11年3月期の業績によると、農薬事業を含む健康・農業関連事業の売上高は前期比5・3%増の2641億円。同事業の海外売上高比率はおよそ6割と高い。農薬事業では豪州の農薬会社に資本参加するなど積極的な海外展開を進めている。また農薬専業メーカーの日本農薬も中国に現地法人を設立して7月から営業開始する予定など、すでにいくつかの国内メーカーが海外展開を加速し始めている。
 世界の人口は増加が続き、食料需要も増えている。フィリピンやインドネシアはコメを輸入している。食料増産に向け日本の農薬メーカーの技術開発力が活躍する場面はまだまだ見込める。ビジネスチャンスに挑戦してほしい。


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