住友スリーエム 三村浩一氏
「グループ貢献度高める」
▼3M出身で初めての日本人社長です。
「プレッシャーを感じるが、今後は3Mジャパングループとして3Mのグローバル展開への貢献度を高めないといけない。3Mは戦略的に人材育成を行っており、これまでの経緯を振り返ると、その一環だったのかと思う。これからいろいろなことが分かってくるだろうが、インドネシア3Mの社長を務めた経験があるので少しは勘はある。今までやってきた方向性は間違っていないと思うし事業戦略などの継続性は大事なので、急に大きく変わることはない。ただ、従来よりもスピードを上げて取り組んでいきたい」
▼今後、どう舵取りを進めますか。
「3Mへのグローバルな貢献という点では、1つは日本の顧客が海外へ出ていく際の対応、また日本で開発した技術の海外展開だ。このことは3Mでアジア・パシフィックの工業用マーケットを担当していた時に強く感じていた。また、事業部間の垣根を低くし、もう少しマーケットにフォーカスした組織にして、バランスのとれたポートフォリオにしたい。同時に人材育成にも力を入れていく。スリーエム ヘルスケアを含めた3Mジャパンとしての今年の新入社員は半分が女性で、全体の4分の1は海外の人になっている。バックグラウンドのある中途社員も採用しており、マーケットへの対応力を強化していく」
▼3Mのアジア展開における日本拠点の役割をどう考えますか。
「インドネシアやタイ、ベトナムなどの成長市場に日本企業はたくさん進出しており、これをサポートしなくてはいけない。アジア・パシフィック市場は日本メーカーが強いので、貢献できる余地は大きいと思う。3Mジャパンは生産拠点としても重要な存在であり、これからも高品質・高付加価値のものづくりを続けていく」
▼内需型ビジネスに重点を置いています。
「今までは自動車、エレクトロニクス分野がメインだったが、輸出型は波が大きいし今後は3Mジャパングループとしてバランスのとれたポートフォリオにしていく。このなかで建設・インフラ、消費財・小売り、ヘルスケアの3市場を重点的に取り組む。復興需要に関してもプロジェクトを設け全社的に取り組んでいる。マスクのほか工業製品、建物の制震用の粘弾性ダンパー、強度向上にもつながるコンクリート保水用テープなどの需要が期待できる。また、節電対策需要として窓用遮熱フィルムも高い伸びをみせている。内需型と輸出型の割合は現状4対6だが、これを半分ずつにしてバランスがとれた形にしたい」
▼これから期待する分野は。
「内需型では今後ヘルスケア分野がまだまだ伸びる。この分野は研究開発(R&D)関連の投資も計画しており、フォーカスして伸ばしていきたい。消費財・小売り分野は今まで性能を追求してきたが、今後はプラスアルファでデザイン性なども重視していく。これらに関しては現在でもアジアにある3MグループのR&D拠点などを活用した展開を図っている」
(聞き手=児玉和弘)
【略歴】
〔みむら・こういち〕1981年(昭和56年)上智大学経済学部卒、同年住友重機械工業入社。87年住友スリーエム入社。00年米3M工業用テープ製品事業部市場開発部長、06年インドネシア3M代表取締役、09年住友スリーエム執行役員工業用マーケット担当、10年取締役、11年同工業用・自動車マーケット担当。12年4月1日付で社長兼スリーエム ヘルスケア社長。東京都出身、54歳。
【横顔】
日本人社長のメリットとして「圧倒的にコミュニケーションが有利なこと」を挙げる。日頃から心掛けるのは「人の話をよく聞く」こと。3Mジャパングループのトップとして幅広い分野をみるだけに一層気をつけたいとする。趣味は1級の腕前を持つスキーで、「若い頃は山にこもっていた」ほどだ。