景気回復のリスクに適切な対処を
個人消費の堅調に加えて、復興需要の本格化による公共投資や好調な輸出などで今年1-3月の実質国内総生産(GDP)は前期比1・0%(年率4・1%)のプラスとなった。それでも、日本経済を取り巻く環境はいぜん楽観を許さず、電力制約問題や欧州債務危機などリスク要因を抱えている。政府は直面する課題を着実に解決して景気回復を加速してもらいたい。
1-3月期の実質GDPは比較的高い成長となったが、内外需別寄与率は内需が0・9%、輸出から輸入を引いた純輸出が0・1%。タイの洪水影響などで10-12月期はプラス0・0%と一時的に停滞したものの、3期連続のプラス成長である。内需はエコカー補助金の復活による自動車など耐久財だけでなく、スポーツ観戦などサービスも好調で、個人消費は1%以上伸びた。工事進捗ベースの民間住宅や民間企業投資はマイナスになったものの、公共投資がGDPを押し上げた。前期はタイ洪水影響などで落ち込んだ輸出も回復に転じ、純輸出は2期ぶりにプラスとなった。
成長率はわずかだが事前の市場予測を上回り、四半期デフレーターは前期比プラス0・0%と13四半期ぶりプラスとなった。個人消費を中心に日本経済の底堅さを示したものの、2011年度の実質GDPはマイナス0・0%、デフレーターはマイナス1・9%と回復と呼ぶには程遠いのが実態である。
古川元久経済財政担当相は「景気は上向きの動きが続いている。4-6月期以降についても、復興需要が景気を下支えすることで緩やかな成長が続く」とする一方で、「欧州政府債務危機の再燃などリスク要因には留意する必要がある」と指摘した。復興需要に依存した景気回復の息切れを防ぐには、民間需要主導の経済成長に早期に移行しなくてはならないという認識は政府、経済界とも一致している。
課題はデフレ脱却と経済活性化をいかに実現するかである。世界経済のリスク要因となっている欧州危機は再び、不透明感を強めており、欧州経済の混乱は日本を含めたアジア経済の減速につながる。一時是正された為替レートも円高に振れており、株価の低迷は経済界のマインドを低下させる。
もう一つの大きな課題は電力問題だ。東京電力の料金値上げは中小企業の経営を直撃しているが、関西電力など全国的に広がった電力供給制約は回復しつつある生産活動にブレーキをかけかねない。安全性を確認した原子力発電に関しては稼働を再開すべきだが、産業界任せの節電、原発立地自治体頼り再稼働など、政府のリーダーシップが見えない。