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2012年04月12日 前へ 前へ次へ 次へ

エンジ企業に必要な"コアジャパン"

 新興国の経済発展やエネルギーの多様化ニーズを背景に、エンジニアリング企業の存在感が増している。一方で、人口急増に対応する食糧増産、都市化による社会インフラ整備が進む新興国では、多くのプロジェクトで受注競争の激化が続く。日系企業は近年、機器メーカーやエンジ企業など有力各社が連携する"オールジャパン"体制で受注確保に取り組んでいる。ただ今後、新興国政府の発言権がさらに強まることは必至で、現地企業とともに発展する"コアジャパン"を重視して成長路線を歩むべきではないか。
 欧州債務問題など先進国の経済低迷を尻目に、新興国では積極的な設備投資が続き、インフラ投資は向こう20年間で4400兆円に膨れると予測されている。また世界の人口が70億人から90億人に向かうと、食糧増産のため肥料プラントの大型化、スマートシティーによる都市開発など、各国で大規模案件が増加するとみて間違いない。
 さらにエネルギー産業では、従来の中東地域を中心とした石油ガス開発から、ここにきてシェールガスや、これまで不可能だった深海での石油資源・天然ガスの開発が可能になることで、資源掘削エリアやエネルギーソースも多角化している。
 従来、日系企業では各案件に個別に対応してきたが、近年、各社が保有する高度な要素技術や機器装置を組み合わせ、オールジャパン体制を推進してきた。ただ、新興国では失業問題が深刻化、雇用増大を目的に自国産業の育成に取り組んでいる。
 この対策に新興国政府では、現地調達率を一定水準以上とするローカルコンテントの義務化や導入が相次ぐ。今後、新規プロジェクトを受注する際、現地企業との協業や、現地生産・調達は避けて通れない。
 こうした市場環境下、大手エンジ企業では、従来のオールジャパンの取り組みを一歩進めた、コアジャパンの概念を取り入れつつある。各プロジェクトにおいて日本の本社がヘッド機能を担い、計画段階から参画し、各種機器やシステムの標準規格を作成、最適なソリューションを提供するものだ。欧米のコンサルタントが全体の枠組みを策定し、日系機器メーカーに発注するこれまでの手法を変えることが狙いだ。
 エンジ企業の役割は、複雑化・巨大化するプロジェクトにおいて、各種機器や要素技術を最適に擦り合わせ、プラントの付加価値を高めることにある。ただ国によってニーズは異なる。日系各社では、コアジャパンの発想で各地域の雇用や産業発展に貢献しつつ、新興国でのビジネス展開を一段と強化、新規受注を目指すべきではないか。


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