顧客軽視の東京電力
「説明不足」で済ませられる話ではなかろう。東京電力が、4月から予定する企業向け料金の値上げについて、契約更新前なら拒否できることを需要家に知らせていなかった。年度末になって対応に追われる企業や自治体には、強い不満と不信が渦巻く▼1月に値上げを発表した際、同社の西沢俊夫社長は「(値上げは)事業者の義務というか権利」と発言した。これに対する批判は強かったが、言葉足らずの表現だという同情的な解釈もあった。産業界には、諸条件を踏まえれば値上げも致し方ないという受け止めもみられた▼しかし今回の一件は事情が違う。よもや意図的にやったとは思わないが、結果として契約相手へのだまし討ちに等しい。甚だしいまでの顧客軽視には、枝野幸男経産相ならずとも「開いた口がふさがらない」思いだ▼きょう26日に柏崎刈羽原発の6号機が定期検査入りのため停止する。東電管内の原発稼働はゼロ、国内全体でも北海道電力・泊の3号機ただ1基を残すのみ。電力供給はさらに厳しさを増す▼福島第1原発の事故以来、日本中が厳しい供給制約を受けている。企業も国民も、従来の価値観を変化させながら対応に苦慮している。そんな状況下でも東電のガバナンスは一向に変わらないまま。不思議というべきか不気味というべきか。