高まるLNG発電依存度のリスク
54基の原子力発電所の稼働停止を目前に控えながら、再稼働の見通しは立っていない。日本のエネルギー政策の中核を担ってきた原発が長期間稼働できないと、経済や社会活動の混乱は必至である。一方で、原発停止で火力発電依存度が高まっており、とりわけ液化天然ガス(LNG)への転換が急激に進んでいる。必然的にLNG輸入価格は上昇し、電力コストに跳ね返る。貿易赤字の拡大、地球温暖化への影響も無視できない。
経済産業省はこのほど公表した産業活動分析で、「鉱物性燃料の長期的輸入傾向と震災後の液化天然ガスの輸入動向について」をまとめた。それによると、2011年の鉱物性燃料の輸入額は21・8兆円、価格高騰で過去最高を記録した08年の27・7兆円に次ぎ2番目である。輸入総額に占める比率は32・0%だ。鉱物性燃料のなかでLNG比率は、20年前の14・1%から21・9%へ急上昇し輸入額は4・8兆円、過去最高となった。
原発事故によって昨年4月以降、火力による発電量が急増して11年の火力依存度は72・5%まで上昇した。第2次オイルショック以前の1970年代後半と同水準である。なかでも電力制約が深刻になった夏場以降はガスタービンによる発電が激増して、12月は前年の10倍近くになっている。
LNG輸入は5月以降、前年同月比で2-3割増が続いている。増加分は約800万トンで、これを長期契約で60%、残りはスポットで確保したが、その輸入先はナイジェリア、赤道ギニア、トリニダード・トバコなどにも広がっている。このため輸入価格は夏場以降高水準が続き、年末にかけてさらに値上がり傾向にある。
原発の稼働が相次いで停止するなかで、停電という最悪の事態は回避されてきた。しかし夏場の需要期を控えて、昨年のように国民や産業界に節電を強いるという危機的対応では限界が明らかだ。政府は早急に電力の需給見通しを示すとともに、これに対応した節電の取り組みが必要になろう。ただ、現状のままでは混乱は避けられないだけに、安全性の確認された原発の再稼働を認めるべきである。
原発の全面停止が続くことになると、ようやく回復基調に転じてきた日本経済に冷や水を浴びせることになる。31年ぶりに赤字に転じた貿易赤字の拡大も避けられず、経常赤字転落も現実の問題として迫る。LNGは石炭や石油に比較してCO2排出原単位は低いとはいえ温暖化ガスは増える。さらに、最近のイラン情勢など世界のエネルギー事情の流動化を考えると、原発再稼働問題の結論をこれ以上先送りできない。