後発薬にはない長期収載品の役割
長期収載品の薬価のあり方が2年後の薬価改定で焦点の一つになる。ジェネリック医薬品(後発薬)の普及促進にかかわる問題でもあり、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)の2012年度診療報酬改定の答申で、附帯意見書に検討課題として盛り込まれたためだ。14年度の改定に向けた議論は中医協で来年夏から本格化するため、製薬業界はそれに備えた理論武装を進めなければならない。
新薬の特許が切れると、同じ有効成分を使った後発品が市場に登場し、その新薬(先発品)は長期収載品として扱われる。薬価制度では隔年の市場実勢価格調査に基づいて既収載医薬品の薬価を改定するのが原則となっているが、後発品が薬価収載された先発品は改定で特例引き下げを受ける。また後発品は先発品薬価の0・7倍で薬価収載されており、係数が適正かどうかは別として、こうした仕組みは患者、国民の利益にかなうものといえる。
しかし、長期収載品は薬価制度に本来仕組みのない引き下げを受けるなど、風当たりが強まっている。10年度の改定では、一定の要件を満たす特許権存続期間中の新薬の薬価引き下げを実質的に猶予する新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行導入を理由に、2・2%の追加引き下げが実施された。今年4月の改定では、後発薬普及の政府目標に対する遅れを理由に、0・86%の追加引き下げが行われる。また後発薬も0・33%引き下げられる。
11年度の国民医療費は40兆円に迫る見通しで、20年間で2倍になる。膨張抑制策として薬剤費に切り込みが入るのは仕方ないとしても、薬価制度のルールから外れた追加引き下げは長年続いてきた制度の信頼性自体を損ねかねない。
日本の後発薬普及率は現状23-24%で、50%を超える欧米先進国と比べ著しく低い。12年度に30%という政府目標の達成は難しいが、大型新薬の特許切れが相次いでおり、2-3年以内には30%を超えるとの見方が大勢だ。長期収載品の根強さが後発品普及を阻害している側面は否めないが、長期収載品には追加適応開発、安全性情報収集など後発品にはない役割が残っているものもあり、同一効能・成分だからといって一物一価の経済原則を当てはめるのは適正ではない。
新薬創出加算制度は新薬にインセンティブを与える一方で、特許が切れたら後発品に置き換えていくことを基本としている。長期収載品の位置づけには難しい側面もあるが、後発品にはない役割に対する価値をどう訴求していくかが重要になる。