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2012年02月21日 前へ 前へ次へ 次へ

競争力支援を鮮明にする知財行政

 日本企業のグローバル展開が加速するなかで、技術のみならずデザイン、ブランドを含めた知的財産権を活用した競争力強化の重要性が高まっている。特許庁は国際的な制度調和の推進とともに、新興国の知財政策支援・協力などを通じて、日本企業の事業展開をバックアップする施策を打ち出している。
 今月8日、特許庁とASEAN加盟の知財庁による「第1回日アセアン特許庁長官会合」が東京で開催された。日本企業の投資が急増しているASEANは、2015年に域内の経済活動の自由化する共同体構築を進めている。高い経済成長に着目して欧米、中国や韓国企業を含めた競争も激化しており、各国とも官民連携で推進している。
 会合では「東京知財声明」を採択した。貿易や投資の円滑化、イノベーションや技術移転を促進して持続的な経済発展を実現するには、研究開発の成果である特許をはじめデザイン、ブランドが適切に保護されることが不可欠ということで一致。これに基づいてASEAN各国の知財に関する国際条約加盟の支援、審査・行政能力の向上、普及啓発活動などで具体的行動計画を策定、実行する。
 特許に比較すると地味な存在である意匠、商標においても国際的な制度調和が課題になる。この分野では、わが国の遅れが指摘され、海外において権利を取得する際に手続きや費用負担が大きいと不満があった。
 検討が先行しているのは商標。マドリッド・プロトコルを利用した外国出願は増加傾向にある。今回の改正では、インターネットやデジタル化進展による動く商標や音の商標など、商品やサービスの新しいタイプのブランド戦略に対応する。米国企業などは広く活用し、アジア主要国でも保護対象になっている。特許庁では国際整合を図る方向で動いているが、一部企業からは監視負担の増大を不安視する声もある。
 意匠では、デザインの国際登録に関するヘーグ協定への加盟を前提に改正作業が始まった。この条約は欧州主導だが、未加盟の米国や韓国も加盟に向けて作業を進めており、日本企業が海外でデザイン権を迅速に取得するにはヘーグ条約加盟が不可欠になっている。ただ、ヘーグ条約では、意匠登録を無審査で行っているが、日本は審査制を採用しており、条約加盟後も審査制を維持する方針だけに議論が予想される。
 特許庁の進める知財制度の国際整合を図りながら、日本企業の競争力支援の成果を期待したい。とくに急速に知財大国化が進む一方で、一向に解消しない模倣品の氾濫を抱える中国対策としても有効になろう。


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