FPD部材各社 中小型シフト強める
薄型テレビ市場の成長鈍化で厳しい状況が続くフラットパネルディスプレイ(FPD)部材業界。薄型テレビはクリスマス商戦と中国の春節商戦で薄型テレビ旧モデルの在庫処分が進み、2012年モデルの販売に重点が移っている。こうしたことから部材の需要回復は5月頃とみられるが、単価は引き続き低水準が続く見通し。そのため、各社は成長が見込め付加価値が高いスマートフォンなど中小型へのシフトを一段と強めている。
※回復は5月頃※
ガラス基板は旭硝子、米コーニングとも生産調整を続けているが、今年前半には需給バランスがとれる見込み。しかし、価格下落は深刻。旭硝子では「需要は昨年9月に底打ちしたものの、価格下落幅は拡大した」という。今年も面積ベースで10%の成長が見込めるとしながらも、打開策としてコスト削減と供給過剰ににならない最適稼働体制を敷く。
光学フィルムも値下げ圧力が強いが、年率数割もあった下げ幅には底打ち感が出てきた。ただ、現状の需要は低調で、日本ゼオンによると、「大型パネル用光学フィルム工場の稼働率は30ー40%に低下、市況回復は5、6月頃」。
グローバル生産体制をとる住友化学は、「テレビ市場は拡大が続き不安はない」としながらも、4ー12月期の偏光フィルム、カラーフィルター事業は「出荷量が増えたが、売価下落は進んだ」という。他の液晶部材も、「配向膜や着色レジストが前年比約20%減」(JSR)と、引き続き状況は厳しい。
※ライン転換も※
こうしたことから、各社は高成長が見込め付加価値が高いスマートフォンやタブレットパソコン(PC)向けへのシフトを一段と進めようとしている。国としても日本のディスプレイ産業生き残りのために中小型専業の「ジャパンディスプレイ」を立ち上げるなど力が入っている。
大日本印刷のカラーフィルター事業はテレビ向けが不振だったが、中小型向けは堅調だった。凸版印刷も中小型は伸びたものの、大型は前年割れだった。両社とも今後は中小型に重点を置く。
日本ゼオンは鮮明な画質を可能にする斜め延伸フィルムがスマートフォン向けなどにフル生産の状況にある。氷見製造所(富山県)の新しい生産ラインが立ち上がっても需給ひっ迫が続くとみられる。
TAC(トリアセテートセルロース)フィルム最大手の富士フイルムも中小型向け新ラインを立ち上げる。九州富士フイルム(熊本県)に、今年内に2300ミリメートルまでの広幅に対応可能な2系列(第7・第8ライン)を新設。このうちVA(バーチカルアライメント)用位相差フィルムの第8ライン(年産能力3500万平方メートル)の完成に合わせて、足柄工場(神奈川県)の超幅広VA用位相差フィルムラインの1つを中小型向けに転換する。
※有機EL期待※
また、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイへの期待も大きい。薄型テレビへの適用が本格化すれば、大型需要につなががるためだ。旭硝子では「高温耐性の高い当社のフロート法に優位性がある」と技術力に自信をみせている。