国民的議論が必要な終末期医療
日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が全国の男女1千人に実施した調査によると、余命が1-2カ月に限られたら「自宅で過ごしたい」と答えた割合は8割に上った。一方、それが実現可能と思っている割合は2割に満たない▼この調査結果は、現実とほぼ逆である。厚生労働省の統計によると、1年間に亡くなる百万人超の8割以上は病院で息を引き取っている。人生の最期がなかなか思い通りにならないというのは寂しい気がする▼調査では、自宅で最後を過ごすための条件として「介護してくれる家族がいる」「家族に負担があまりかからない」「急変時の医療体制がある」が上位を占めた。家族と在宅医の存在が不可欠と考える人が多いのは、2005年の調査開始以来、一貫しているという▼12年度は診療報酬と介護報酬の6年ぶりとなる同時改定が実施される。先週まとまった改定の中身をみると、在宅医療を促進する施策が目立つ。入院を減らして医療費を抑制したい意図もあるのだろうが、国民の意にもかなっている▼高齢化で国民医療費は毎年1兆円規模で増え続け、片や8割の人が最後を自宅で過ごしたいと思っている。在宅医療や介護の体制充実が必要なのはもちろんだが、最期をどう遂げるかにかかわる終末期医療のあり方についての国民的な議論も必要だ。