急がれるべきはなにか
1基また1基と止まり、いま稼働するのは全国でわずか3基。4月下旬に北海道電力・泊原発の3号機が定期検査に入ると、全国で54基ある原発が全て停止する。定期検査終了後の原発再稼働が望まれるが、いずれも地元の同意が得られにくい状況が続いたままだ▼そんな現下の事態を十分に認識している枝野幸男経済産業大臣が、27日の閣議後会見で今夏は電力制限令を発動せずに乗り切る意向を示した。「これは強い意志だ。それができる可能性は相当程度ある」との言葉は頼もしい▼が、具体的な裏付けデータは示されなかった。現段階では根拠は公表しないのか、それとも単なる努力目標なのか。発言は、原発稼働ゼロの場合でもという前提。それなら政府のエネルギー・環境会議が試算したピーク時7%不足という数値と矛盾する▼大臣は「事前にできることを最大限やり、節電の協力はお願いしなければならない」とも語った。昨年来、国民も産業界もあげて節電に努めてきた。事前にできることを最大限...も必要だろう▼さはさりながら、である。将来はともかく、最低でも今後数年間は、原発の再稼働抜きでは日本経済が立ち行かない。電力供給不安を抱えたまま、産業の競争力強化を論じるのは絵空事でしかない。急がれるべきは何か。そこから目を背けてはなるまい。