落ち込む外国人旅行客
「ようこそジャパン」。2003年に小泉首相が日本を訪れる外国人旅行者を12年までに1000万人に引き上げることを打ち出した観光立国宣言のキーワードだ▼02年の外国人旅行客は524万人。キャンペーン効果もあって10年には940万人を超えるまでになっていた。だが、東日本大震災、原発事故、さらに円高によって11年の訪問外国人旅行客は年に比べて230万人もの落ち込みとなった▼想定外の事態が相次いだことによって、大幅な減少もやむを得ないものがある。問題はこれからどうするかだ。思い出されるのは03年の新型肺炎(SARS)禍にあったシンガポールだ。同国における観光産業から生み出されるGDPの重みは日本の比ではない。同国へ向かう飛行機はがらすき、ジャンボ機の横一列10席に誰も乗っていないという有様だった。ホテルの稼働率は5割を大きく下回り、日系ホテルの撤退をはじめ、業界の再編につながっていく▼同国はそこから、旅行客の呼び戻しに懸命に取り組んだ。日本でも有名になった空に浮かぶ廊下の「マリーナ・ベイサンズ」はその産物。夜、市中を走る迫力満点のF1の誘致もそうだ。F1は落ち込んだ宿泊料金のてこ入れ効果があった▼円高で費用が割高になっても行ってみたい国への取り組み、復興に欠かせない。