ニュースヘッドライン記事詳細

2011年12月26日 前へ 前へ次へ 次へ

持続的成長へ弛まぬ新市場の創出を

 世界的に景気の不透明感が漂うなか、素材産業には難しい舵取りが求められている。東日本大震災にともなうサプライチェーンの寸断は回復に向かっているが、過去最高水準の円高は継続し、さらに欧州の債務危機や米国経済の鈍化、中国の景気減速など懸念材料は後を絶たない。リーマン・ショックから復活を果たした産業界は、再び厳しい環境に直面している。
 ファイン・スペシャリティケミカル産業も例外ではない。塗料産業は震災が需給環境に与えた影響も大きく、8月に震災後初めて前年同月比でプラス転換した生産・販売量は、9月には再びマイナスとなった。顔料など主原料の調達が一時的に滞った印刷インキも、現在は落ち着きを取り戻しているものの生産量に影響を及ぼしている。幅広い分野に需要を持つ無機薬品については、今年度上期の出荷量が半分以上の品目で前年同期を下回った。
 塗料と印刷インキ産業は、海外需要に目を向け早くからグローバル展開に取り組んできた。塗料メーカーは大手を中心に自動車の海外生産シフトに対応してきたほか、印刷インキも中国や東南アジアに加えて、インドにも相次ぎ拠点を構えた。ここにきて中小の塗料メーカーもアジア地域を中心に相次ぎ進出を決断するなど、長引く円高を背景にこの傾向は強まることが予想される。
 国内市場が成熟している農薬産業は、今後さらに市場を求めて海外展開が加速する見通しにある。環太平洋経済連携協定(TPP)参加に向けた協議が開始されたことで、国際競争力の強化がさらにクローズアップされるところだ。
 海外展開と並んで国内の新市場開拓もカギを握る。日本塗料工業会などは、壁紙クロスが主流を占める内装市場で塗料の直接塗装を提案。また、節電機運を背景に、各社は遮熱塗料への取り組みを強めている。印刷インキメーカーも環境配慮型など高付加価値製品の開発に加えて、電子書籍をはじめとしたデジタルメディアへの対応を積極化させている。
 無機薬品もリチウムイオン2次電池や太陽電池などのエネルギー関連、またスマートフォンやタブレット型情報端末用途などに利用される品目は存在感を高めている。農薬メーカーは病害虫・雑草への防除効果のほか、環境への負荷が小さい製品などの投入が相次ぐ。
 先行き不透明な今を"我慢の時期"としないためにも、市場ニーズへの迅速・的確な対応が重要となる。新興国をはじめとした海外、また国内でも新たな需要を取り込む弛まぬ努力が成長への糧となる。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.