戦略転換迫られる化学系エンジ企業
化学系エンジニアリング企業が事業戦略の再構築を迫られている。東日本大震災後のサプライチェーン見直し、急激に進行した円高、製造業の海外シフトにともなう主要顧客の国内設備投資の抑制などが背景にある。これまで化学系エンジ企業は、国内向けビジネスを軸足に発展してきたが、成長戦略を推し進めるためには海外市場の開拓が急務となりそうだ。
化学系エンジ企業は、大手化学会社のエンジ部門を戦後の高度成長期に分離して設立されたケースが多い。業務内容は親会社の設備投資に関する設計・調達・建設(EPC)の受注を軸に事業基盤を広げてきた。近年では親会社の仕事に限らず、外部顧客(外販)を増やす傾向もあるが、基本的には国内事業に特化してきた。
エンジニアリング協会の統計によると、2010年度のエンジ産業の受注高合計は8兆3692億円。業種別には専業大手は8973億円で、このうち海外比率が80・9%と圧倒的に海外ビジネスに依存している。一方、化学系エンジ企業を含む専業中堅は7114億円で、同15・1%と海外比率は低い。
企業によって得意分野は異なるが、専業大手は石化コンビナートなど連続式プラントが強い。これに対して化学系エンジ企業は塗料、香料、化粧品、電子材料、界面活性剤などファインケミカル製品のバッチプラントでの実績が多い。
ただ近年、急激に進んだ円高を背景に自動車、家電、情報通信機器など組立メーカーの海外生産シフトや、震災にともなうサプライチェーン見直し機運が高まり、国内のファイン系企業における設備投資が低迷している。国内市場の成熟と新興国経済の発展が各社に戦略見直しを迫っている。
すでに三菱化学エンジニアリングは、「国際センター」を発足させ、中国や台湾で現地法人の機能強化に乗り出した。住友ケミカルエンジニアリングは台湾企業と上海で合弁会社を設立している。AGCエンジニアリングは中国や東南アジアで環境装置の需要が大きいとみて受注獲得を目指している。
エンジビジネスのさらなる拡大が予測される海外市場だが半面、国内とは別のリスクを忘れてはならない。専業大手ですら過去、海外プラントで大きな痛手を受けるなど高い授業料を払ってきた。
いずれにしても、エンジ企業にとって重要なのは顧客の設備投資の動向である。これからファイン系化学企業が国内の設備投資を抑制し、海外投資を増やせば化学系エンジ企業にとっても、それに見合った戦略構築が何より求められている。