プロテオミクス研究
生物や細胞のたん白質を系統的かつ包括的に網羅していくプロテオミクスという研究が、システム生物学の分野で急速に進んでいる。疾患の原因になるたん白質も次々と発見され、病気のメカニズム解明や新規治療法の開発に寄与している▼ゲノム(全遺伝情報)が、ある生物の細胞でほぼ均一なのに対し、たん白質は細胞ごとに異なるうえ、化学物質の修飾などによって変化する。たん白質の多様性を解き明かしていくのは、気の遠くなるような作業だろうと思う▼たん白質の解析には、酵素で切断して低分子のペプチドにし、それらを一つひとつ調べて全体像を知るという方法がある。緻密な作業には分析化学が不可欠であり、クロマトグラフィーや質量分析技術などの発展抜きには成り立たない▼知識集約型のライフサイエンスを基盤にする産業は、日本の成長牽引役として期待されている。付加価値の高い製薬産業は筆頭に位置づけられており、世界展開できる画期的新薬の創出が課題だ。しかし新薬を生み出すのは容易なことではない▼プロテオミクス研究では、創薬標的の探索や同定が重要な目標になる。大学などアカデミアの役割が大きく、製薬企業との連携も必要だ。地道で根気のいる基礎研究が創薬の源であるだけに、それは強く長い競争力につながるのだろう。