業界結束によるナフサ免税恒久化だ
化学業界が長年求めてきた石油化学原料ナフサの免税恒久化が、大きく前進した。政府が10日未明に閣議決定した2012年度税制改正大綱で、石油石炭税の免税・還付措置の適用期間の定めが外され「当分の間の措置」と記載された。喉に小骨が引っ掛かったような表現ではあるが、関係者は「実質的に無期限と受け止め、大きな成果が得られた」(高橋恭平石油化学工業協会会長コメント)と前向きに評価している。
いまさら指摘するまでもなく、石油石炭製品のなかで原料用途は非課税とするのが国際標準である。欧米でもアジアでも、原料用途に課税している国はない。ところがわが国においては、租税特別措置として期限を定めた免税措置として扱われ、現在は2年ごとに期間延長の要請行動を繰り返す必要があり、大きな負荷を強いられてきた。
その構図が変わったのは、09年9月に民主党政権が発足して以降だ。民主党が、租特見直しのなかでナフサ課税を打ち出すという国際常識とは真逆の方針を打ち出したためだ。化学業界は一昨年、昨年と2年連続でその対応に振り回された。
化学業界はそうした経緯を踏まえ、今回は本則化、恒久化の実現に向けて手厚い体制を敷き、政府や与党税調など関係各方面への働きかけを強めた。石化協、日本化学工業協会はもとより、労働組合やコンビナート地元自治体とも広く連携して精力的な運動を展開した。国際的なイコールフッティングを確保することが、石油化学産業が長期的な見通しのもとで事業を存続させる条件となり、雇用確保にもつながることを繰り返し強力に主張した。
大綱には(免税は)「当分の間の措置」と記載された。化学業界の立場からは十分に満足できるとはいえない表現だ。いずれかの段階、たとえば政権が交代した場合に、課税問題が蒸し返されることへの懸念も残る。ただ、今回の一連の論議を通じて、少なくとも民主党税調関係者の間では、本則非課税恒久化の必要性についての認識は共有された。これは今後に向けての大きな成果だ。
租特で免税だったものが本則非課税化した前例がないこと、制度の立て付け上の問題なども勘案すれば、現時点では「実質恒久化」を高く評価していいだろう。ここにこぎ着けた関係者の努力を多としたい。
同時に忘れてならないことは、今回の結果は一歩前進ではあっても、当然のことが当然の形になっただけだということだ。揮発油税の免税も含めて、「本則化については、引き続き検討する」という文言で矛を収めてはなるまい。