白熱化するニュートリノ論争
今年9月、日欧の国際研究チームが発表したニュートリノの実験結果が世界を駆け巡ったスピードは、"ニュートリノ並み"だったかもしれない。なにしろ、質量を持つものは光より速く移動できないという相対性理論と矛盾する衝撃度をもっていたからだ▼実験は、スイス・ジュネーブ近郊の欧州合同原子核研究機関から発射したニュートリノを700キロあまり離れたイタリアのグランサッソ国立研究所でとらえるもので、実験回数はほぼ3年で1万5000回に及ぶ。観測結果は、ニュートリノが光より1億分の6秒(60ナノ秒)速く進むというものである▼観測法などを精緻に検証した研究チームだが「あらゆる否定を試みたが、否定できなかった」として、宇宙的大問題の提起に踏み切った。事実なら、タイムマシンや異次元の存在が現実のものになる▼研究チームはあらゆる学問的な検証を受けたいとしていたが、11月半ば、イタリア国立核物理学研究所などの研究チームが再実験でも追認していた。ところが先週初め、グランサッソ国立研の別の実験チームは、それに異議を唱える論文を公表した。高速で移動する素粒子とニュートリノのエネルギースペクトルが一致しているという▼ニュートリノを巡る論議は、加速膨張する宇宙問題とともにさらに熱くなりそうだ。