欧州で実感したユーロ安
産業界にとって為替変動は一喜一憂するような重大事だが、個人の普段の生活で為替を意識する場面はそんなにないだろう。スーパーなどで円高還元セールがあると得した気分を味わえるが、円安に関連する催しは聞いたことがない▼ところが、海外に行くとなると為替はいきなり身近な問題になる。最近欧州に行ったが、3万円を空港で両替したら270ユーロ近くになった。3年前は220~230ユーロだったと記憶していたので、改めて円高とはどういうことかを実感した▼ユーロが導入されて、欧州内で複数の国を移動する出張は楽になった。それまでは各国ごとに空港で現地通貨を調達していたが、期間内に使い切る金額にうまく合わせるのは厄介で、財布に違った紙幣や硬貨がどんどんたまった▼欧州の財政不安はギリシャからイタリアへと広がり、先行き不透明感を増している。ユーロを採用した別の国にとっては、一部国の放漫財政で通貨価値が下がるのは理不尽なことだろう。財政規律を共通の基準で守るのは当然のことだ▼円はドルに対しても史上最高を更新している。輸出型企業には由々しき事態だが、年末年始に海外旅行を計画している人はさぞや嬉しいのでは。南欧への旅行者が増えれば財政にも寄与してユーロの安定につながる。経済とはそういうものである。