【新社長登場】 前澤化成工業・池嶋勝治氏
周辺分野の商品開発を
ー 難波前社長の急逝を受けて、突然の社長就任となりました。
「私は入社以来、一貫して工場勤務で、難波前社長が就任されてからは参謀役のつもりで『工場のことは任せろ』といってきたが、まさかこのようなかたちで後を継ぐことになるとは思ってもみなかった。難波前社長の急逝は非常に悲しいことだ。ただ、経済は刻々と進んでいるので、社長となった以上は会社の発展を目指して経営に邁進しなければならない」
ー 今後は復興需要が見込まれます。
「2007年に建設した熊谷第2工場は70台規模の射出成形機を保有する大量生産型工場で、復興需要が本格化した際には大きく活躍してくれるだろう。私が設計から携わった工場で、将来の発展のための基盤となってくれると期待している。ただ、復興需要は一時的なものであり、それ以外の事業でいかに成長していくかが課題だ。上水、下水は当社の事業の軸となるものであり、そこで住環境を改善する商品の開発をしていくことはもちろんだが、同時にその脇道でも事業機会をうかがっていく」
ー 脇道とはどのようなことでしょうか。
「日本の人口は頭打ちで、既存の事業だけでは成長は見込みにくい。また、公団住宅の老朽化した金属配管の更新に対応した製品は徐々に売り上げを伸ばしているが、数十年の耐久性がある塩ビの管材製品でリフォーム需要の取り込みには限界がある。すると、上下水道から少し離れた分野でも、当社の強みを生かせるところで事業の拡張を図っていかなければならない。当社の強みは射出成形の力だ。今は塩ビ製のマスや継手が主体だが、素材にこだわらず、さまざまなプラスチックを用いて商品開発に取り組みたい。開発の速度を速めていくため、今まで以上に開発組織や研究組織を充実させていきたい」
ー 排水処理システム「アジティス」もその1つですか。
「その通りだ。比較的少額、省スペースで排水の処理能力を向上できることから、食品工場を中心に採用が拡大してきた。来期からは一定規模の収益への貢献が見込めそうだ。今後はアジティスに使用している部材の内製化比率を高めることも検討したい」
ー 難波前社長は「第2の黄金期を目指す」といわれていました。
「3年後に当社は60周年を迎えるが、何もしなければ管材需要の縮小とともに当社の事業規模も落ち込まざるを得ない。第2の黄金期といえるようになるには、まず売上高を連結で220億円規模に高め、その後も成長していける姿を作り出さなければならない」
ー 中国市場への進出を決めました。
「土地の取得が当初計画より若干遅れているが、金型は先にでき上がってくるので、まずは外部委託で塩ビのマスを作り販売を開始する。来年下期からは自前の工場で生産を開始できるだろう。中国も経済の発展にともなって住環境の向上が求められてくるはず。中国の巨大マーケットを取り込んで当社の発展につなげたい。新工場はそのための第1弾となるものだ」(聞き手=関口裕介)
略歴=〔いけじま・かつじ〕1967年県立柏崎工業高等学校機械科卒、同年前澤化成工業入社。05年執行役員、06年取締役執行役員、07年取締役上席執行役員、08年常務上席執行役員、09年専務上席執行役員、10年共和成型社長(兼務)、11年6月代表取締役専務兼共和成型非常勤取締役(現任)、10月社長就任。新潟県出身、63歳。
横顔=自宅で熱帯魚を飼育しているが、「水槽に入れた砂利が水の汚れる原因になる」ことを解明するなど、水に対する知見を生かして今では3つの大型水槽が必要になるまで繁殖させている。座右の銘は工場次長の頃、「大人の仲間入りをしないと」と考えて決めたという「素直な心で聞く耳を持つ。されば自ずと道は開ける」。
(了)