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2011年10月27日 前へ 前へ次へ 次へ

安全対策に情報共有化と相互学習を

 今年は、米国で提唱された「セーフティ・ファースト」運動を導入した古河鉱業足尾鉱業所が「安全専一」と名付けた標示板を掲示し、従業員の安全意識の高揚を図る活動を記念した産業安全運動100周年である。化学企業にとって保安・労働安全の確保は最重要課題だが、災害や事故を根絶することは容易ではない。事故情報を共有化するともに、他社の安全活動を学びあうことも大切である。加えて3月の東日本大震災は事業継続計画(BCP)の見直しなど新たな対応を迫っている。
 石油化学工業協会は「保安推進会議」を、日本化学工業協会は「安全シンポジウム」を相次いで開催した。石化協は個人を対象に保安活動に貢献した23人を、日化協は優れた安全活動の成果を出した4事業所を表彰した。合わせて保安・労働安全の活動事例の発表を行ったが、直面する課題も浮かび上がった。
 石化協で発表したのは日本ポリプロ、JSR、昭和電工、太陽石油、出光興産の5社。日本ポリプロはポリオレフィン業界の再編によって設立されたが、出身母体の安全文化や製造技術が違うという特殊性のなかで、安全活動を進めた。このほか太陽石油は設備経年劣化への対応を、出光興産は徳山製油所で相次いだ労働災害の経験を踏まえて、より実効性がある実践的な教育システムを講演した。
 日化協の安全表彰は三井化学大牟田工場、昭和タイタニウム、田中機工(旭化成建材の関連会社)、東亞合成坂出工場が受賞した。三井化学を除くと、従業員の規模は100人以下と小さく、化学産業の変遷とともに主力事業が縮小して人員削減が迫られた事業所が多いという共通点を持っている。また田中機工は3月の震災で被災した。
 各社からは「安全は努力で獲得する」「熱意と継続、そして手を抜かないこと」「不安全状態を減らすため現場に足を運ぶ」「工場トップの率先垂範」などの安全への姿勢を語った。また過去のリストラで「災害を起こしたら工場が閉鎖される」という危機感が事業所のDNAになっているという発言もあった。
 震災を経て地震や津波など自然災害発生に対処した安全対策が問われている。地震対応マニュアルの見直しのほか、設備の耐震診断、非常用電源の確保、高リスク化学物質の漏えい対策や液状化対策も急がれる。また、従業員の安否確認システムの導入、夜間に発生した地震を想定したBCPも必要という。被災後のサプライチェーン寸断に対応した日本企業の現場力は高く評価されたが、よりレベルの高い継続的安全には経営トップの決断が要求されていることも認識すべきだ。


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