ニュースヘッドライン記事詳細

2011年10月20日 前へ 前へ次へ 次へ

【持続成長と化学の力】(9) 三菱ガス化学 酒井和夫社長

 東日本大震災では鹿島工場(茨城県)と、BTレジンを生産する子会社のエレクトロテクノ(福島県)が被災した三菱ガス化学。6月までに復旧は終えたものの、今度は円高が襲いかかる。「軸を定め、ぶれずに、すべきことに取り組むだけ」と酒井和夫社長は腹を括る。震災によって構図が一変した日本市場、そして海外市場とどう向き合うのか。
※内需回復には時間※
 ▼ 震災後の状況は。
 「業績に対する悪影響は震災よりも円高の方が大きい。内需低迷も顕著となっており、中間決算では海外売上高比率が5割を超える見通しだ。内需の回復には時間がかかるだろう。欧州の経済不安がアジア経済にどう響いてくるかも気にかかる」
 ▼ 日本でのモノづくりのあり方も変容を迫られています。
 「製品によるものの、マザー工場を日本に残すことが重要。1億人を超える国民を養っていくためには工業は欠かせない。新規事業を創出しながら、赤字に転落しないように維持することが求められるのだろう」
※社長直轄プロ始動※
 ▼ そうすると研究開発に対する取り組みが大切になってきます。
 「10月に社長直轄組織の未来事業創出プロジェクトグループを設けた。メンバーは各事業カンパニーから集め、新規構造材料、次世代電池材料、医療包装材料の3テーマで事業創出を目指している。カンパニーは、環境・エネルギーといったメガトレンドでは同じ方向を向いている。コーポレート部門と各カンパニーの間で対話をしっかりと行い、当社全体の力を集め、次のステップに進みたい」
 ▼ 主力の天然ガス系化学品の事業戦略は。
 「市況の高止まりもあり好調だ。ただ、メタノールだけに支えられている側面が強いため、課題はチェーンをどう伸ばしていくかに尽きる。市場との近さも重要で、中国との距離を考えるならばブルネイは有望な拠点となる。誘導品の拡充とともに、マザープラントや研究開発拠点の育成に力を入れていく」
 ▼ 芳香族化学品や機能製品は。
 「芳香族は?タネ?は良いものの、本格的な事業に結びつかないつながらない製品が多い。例えば透明ポリイミド(PI)は、新規需要は獲得できるが既存製品の置き換えまでにはいたらない。ポリカーボネート(PC)は世界に出ていかざるを得ない。今のままでは厳しい戦いを余儀なくされるため、経営資源を手厚く投じる。BTレジンも高級品との立場が鮮明になっており、戦略の再構築が必須だ」
※円高生かす施策を※
 ▼ 激変する環境に立ち向かうには事業体制見直しも必要です。
 「カンパニー制の良さは残しつつ、コーポレート部門を強化する方策を次の中期経営計画では考えている。研究開発を嚆矢に、会社全体を見渡しての人事、カンパニーをまたがる既存技術・製品の連携などを具体的に検討したい。コーポレートが主体となり、合併・買収(M&A)を行える仕組みづくりも課題だ。円高を生かさない手はない。カンパニーを横断したかたちでの工場建設も可能なはずだ。米国で次期増設に踏み切る際にはMX系製品と過酸化水素が一体となった工場もアイデアにある」


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.