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2011年10月19日 前へ 前へ次へ 次へ

山積する次期薬価制度改革の課題

 次期薬価制度改革に向けた議論がヤマ場を迎える。隔年の診療報酬改定と併せて実施される薬価の改定および制度の見直しは、医薬品業界にとって最大の関心事である。医療用医薬品は価格やその決め方が公定されているからだ。前回の2010年度改定では「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出等加算)という制度が試行的に導入されており、12年度が予定される次期改定ではこの恒久化や、保険医療上必要性の高い医薬品の新薬価制度が焦点になる。
 新薬創出等加算は、一定の要件を満たす特許権存続期間中の新薬の薬価引き下げを実質的に猶予する制度である。市場実勢価格調査に基づいて薬価を改定する従来制度を大きく変えるもので、製薬業界が厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会に提案し、紆余曲折の議論を経て実現した。薬価のインセンティブによって革新的な新薬の創出を促すのが最大の狙いである。
 7月に開催された薬価専門部会では、新薬創出等加算制度の本格導入是非に向けた検証が行われ、8月の部会では業界団体のトップが意見陳述のなかで恒久化を要望した。外資系製薬企業の団体からは、同制度の試行導入が実際に日本での新薬開発を活性化させる意思決定を後押ししているとの説明もあった。海外では承認されているのに日本では未承認の適応や医薬品を解消していく取り組みも進み、同制度の意図は着実に現実化しているようである。
 厚生労働省は9月末の薬価専門部会で、次期薬価制度改革に向けたこれまでの議論を論点整理するとともに、今後の議論の進め方を提案した。新薬創出等加算については、財政影響や後発医薬品の使用状況なども踏まえて検証を継続することになった。本格導入の是非は今年末までに決まる見通しだ。
 次期制度改革で製薬業界は、保険医療上必要性の高い医薬品の新薬価制度も求めている。実質的に代替品がなく、薬価収載から一定年数が経過し、放置しておけば不採算に陥る可能性のある医薬品について、一定の要件を満たすものは薬価を据え置く仕組みだ。現行でも不採算品目の薬価を個別に引き上げる再算定制度はあるが、医療ニーズに応じて安定供給を着実に継続できるようにする。
 前回の診療報酬改定は年ぶりのプラス改定となったが、薬剤費は約6・5%引き下げられた。苦しい医療財政のなかで医薬品は次期改定でもしわ寄せを受ける可能性が高い。限られた財源で新薬価制度の恒久化や創設を実現するには、長期収載医薬品や後発医薬品を含めた全体の配分最適化が必要になる。


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