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2011年10月19日 前へ 前へ次へ 次へ

ロマンと神秘を感じさせる大賀ハス

 蓮の花言葉は「救ってください」だという。泥中に根を張りピンクや白の花を咲かせる水生植物の蓮には、宗教的なイメージとともに独特の存在感がある。池に浮かぶように咲く可憐で清楚な花は、助けを求めているのだろうか▼今年は「大賀ハス」の種子の発掘から60年にあたる。故・大賀一郎博士の信念と多くの人の協力によって、現在の東京大学検見川総合運動場(千葉市花見川区)の泥炭地で発掘された蓮の実は、2000年以上も前の古代蓮のものだった▼発見された3個の実の1つが成長して開花し、博士にちなんだ名前がつけられた。この蓮は千葉県の天然記念物、そして千葉市の花に指定され、夏場の開花シーズンには多くの見物客が蓮池で有名な公園を訪れる▼植物の種子の寿命は一般に長くて数年だが、最初に発見された大賀ハスの種は弥生時代からの命を泥の中でじっと保ち続けた。それが発掘によって救われ、再び美しい花をつける。見る人の心を古代のロマンと神秘の世界に誘ってくれる▼映画「男はつらいよ」の主題歌に、「どぶに落ちても根のある奴は、いつかは蓮(はちす)の花と咲く」というフレーズがある。辛い境遇に陥っても、強い生命力を保って頑張れば花が開き、そして救われる。花言葉にはそんな強い意味も込められているような気がする。


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