サウジとの水協力でビジネス活性を
政府はこのほど、サウジアラビア政府と上下水管理の協力について包括的な覚書を締結した。海水淡水化などの造水や下水処理など幅広い水事業で、人材育成や関連プロジェクトの開発を進めるのが骨子。水インフラ関連ビジネスは、政府の進める成長戦略の柱として打ち出した海外への社会インフラ輸出の重要なアイテムである。今回のサウジとの協力を機に、官民挙げた海外の水市場開発の起爆剤となることを期待したい。
世界の水需要は人口の増加と新興国での都市化・工業化の進展を背景に増加基調を強めており、2025年には00年に比べ3割増える見通し。ここでは、海水淡水化などによる造水とともに、再利用のための水処理技術を活用した「増水」の重要性が高まる。
こうしたなかで、海外における上下水道の整備と運営・管理市場は大きく拡大することは間違いなく、07年の36兆円から25年には87兆円に成長すると見込まれている。
日本は造水や水処理用の膜や単体機器などでは競争力を持つが、上下水道の運営・管理などの総合的な事業ノウハウの確立が遅れているのが現状だ。この解決には、自治体のほか水処理設備の設計や調達、建設を担うエンジニアリング企業や事業推進のファンドなどを含めた総合的体制づくりが重要となる。
経産省はこうした国際的な水市場の動静をとらえて、09年に「水ビジネス国際展開研究会」を発足させたのに続いて、10年には国土交通省や厚生労働省とともに「海外水インフラPPP協議会」を通じた展開策を検討してきた。協議会は海外の水インフラプロジェクトにおいて官民連携による取り組みを加速させるのが狙いだ。
こうした検討を通じて、経産省は日本の水ビジネス展開について、上下水道を中心としたボリュームゾーンでの戦略づくりを重視する一方で、造水や工業用水、再生水など日本企業が強みを持つ市場での展開に焦点を当てた強化策を進めてきた。同時に、市場規模や今後の成長を見込んだ戦略地域・国との「政策対話」に取り組んでいる。これまでに、サウジをはじめアラブ連盟加盟国との対話が実施されているが、今回の協力覚書の締結はその成果となる。
今回の覚書では、海水淡水化を含む水資源の生産のほか、配水、管網管理および漏水の低減、下水処理、設計および管理、(料金システムやメータリングなど)顧客サービスを含めた広範な分野が協力対象となる。サウジは"水"を次代の戦略産業と位置付けており、日本の蓄積した技術・ノウハウが今後生かされることを望みたい。