安全を見分ける
八百屋の店頭に大粒の栗が出ている。栗ご飯を炊けば美味そうだ。ネットには群馬産の表示。それを前に母娘らしい二人連れが「群馬って放射能は大丈夫かな」としばし迷った後に購入を見送った。恐るべきまでの風評被害の一端だろう▼農畜産物であれ海産物であれ、産地の関係者は入念に検査して出荷している。店頭に並ぶものは基本的に心配はない。それでもこの手の風評は沈静化しない。原因の一つがネット情報だ。誰かが何かを投稿すれば不確かな情報がリツイートされ、さらに増幅されていく▼原発事故の後、いわゆる当局発表への信頼性が大きく崩れた。そして、大メディアに登場して安心や安全を唱える論者よりも、それを否定する論調に重きを置く傾向が、特にネット上で強まった▼現下の状況では、中立的な立場で論じるのは難しい。安全や安心に絶対はないから、科学的、客観的に語るためにはいくつかの条件を設定する必要もある。不用意に安全を論じれば、どんなレッテルを貼られるかというのが実情でもある▼もちろん、安全を否定する論者にも科学的な論拠を示す例はある。しかし、専門家でもないのに不安を煽る輩も少なくない。その見分けが肝心だが、安全だと言われたときにそれを否定する説を探したがる風潮は、そう簡単に消えそうにない。