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2011年09月21日 前へ 前へ次へ 次へ

パパイヤ契機にGMO開発再強化を

 遺伝子組み換え(GM)パパイヤが今年末から日本市場で流通できるようになった。初の生食用やその加工品が登場すれば、消費者がGM作物を正しく評価して慣れ親しむチャンスになろう。パパイヤ輸入を契機に、国内の民間企業によるGM作物開発の起爆剤になることを期待したい。バイオ技術を駆使し、多大な労力をかけ開発、安全性などを審査した成果を無駄にしてはならない。GM作物をめぐっては科学的知見を無視した反対論も根強いが、商品選択の自由という基本的な権利を脅かすことなく、円滑な市場への供給が行われることを望みたい。
 GMパパイヤの輸入は8月末までに関連した法案が整備され、12月1日以降可能になる。第一弾になるのはハワイで栽培された「レインボー」と呼ばれる品種で、代表的な病害パパイヤリングスポットウイルス(PRSV)病に抵抗性を示す。PRSVの弱毒化株の外皮たん白質遺伝子を導入することにより、感染しても増殖が抑えられるように設計されている。
 日本ではGMパパイヤの流通まで長い道のりがあった。1999年に当時の厚生省にハワイパパイヤ産業協会が申請して以来、10年以上の歳月を経て、ようやくゴーサインがでた。米国では97年に認可されて99年から販売、カナダも03年に認可されていたにもかかわらず、日本での認可が大幅に遅れたのは健康影響に慎重な姿勢で臨んだからといわれているが、消費者団体の反発の声に配慮したことも背景にあったようだ。
 しかし、ハワイで栽培されるパパイヤの85%はこのGM品種であり、ハワイを訪れる年間120万人を超える日本人観光客の多くが現地飲食店などで、GMパパイヤを生フルーツとして食べているに違いない。それでも内閣府食品安全委員会で健康リスク評価により健康を損なうおそれがないと判断されたのは、09年のことである。
 米国大使館では今月8日、米農務省の開発者を日本に招いて、開発の経過に関する講演会を開いた。また流通に当っては、ハワイ現地で「遺伝子組み換え」とわかるシールを貼っていることが説明された。
 一方、非GM作物を好む消費者もいる。分別が明確に行われる万全な仕組みは普及の絶対条件といえる。現在、日本に輸入されるパパイヤの多くはフィリピン産。高品質なハワイ産の黄色でとろけるような食感と甘みに特徴ある品種「カポホソロ」を片方の親にもつだけあって、今後、日本での需要拡大と、民間での実用化を視野に入れたバイオ作物の開発に抵抗感なく参入できる環境整備につながることを期待したい。


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