中国が関心示す日本の環境関連事業
「中国の投資会社が環境関連技術を持つ中堅日系企業の買収先を探している」。このように中国企業による日系企業ならびに事業買収の動きが加速している。7月末、三洋電機の家電部門を白物家電世界最大手である海爾集団(ハイアール)が買収するという発表は、日本国内のみならず世界に話題を提供した。その前には蘇寧電器集団のラオックス買収などがニュースのヘッドラインを飾った。
中国企業は高成長を続ける内の内需市場に支えられ、蓄積してきた豊富な資金力をバネに、遅れていると指摘される研究・開発力、技術ノウハウ、先端ハイテク製品を事業買収で一挙に収めようとする戦略に乗り出している。そして、技術力のある日系企業がM&Aのターゲットになっている。冒頭の発言はさる有力な中国の省レベル開発区の幹部が実際に発言したもので、第12次5カ年計画において国家的な成長発展分野を環境関連と明確に定めた中国の大きな動きを考えれば、おのずと予測されるものといえるだろう。
すでにハイテク関連ではNECグループの液晶生産子会社の株式の過半数を天馬微電子集団が買収。電気自動車などで急成長をしている比亜迪集団(BYD)も昨年、金型製造の世界的大手、オギハラの金型工場を買収するなど、その動きは加速度を増している。水面下で多くの中国企業、香港などの投資系企業が日本の環境関連技術を持つメーカーの買収に関心を示しているという。
環境関連技術、とりわけ、中国側は工場の省エネや生産効率向上、リサイクル、浄化関連、さらに次の段階では環境改善性能そのものを有している材料や部材関連技術まで及んでいくことは明らかだ。とりわけ、わが国の化学企業は日本国内で生じた環境問題などを技術力で克服し、今や環境関連の領域で世界トップを走る分野も少なくない。中国側が求めている環境関連の動きに、多くの日系の化学関連企業はビジネスチャンスというスタンスで中国市場へのアクセスを強めようとしている。
圧倒的なマス市場を維持しながら質の追求も始めて大きな転換期にある中国。世界中の企業が、あらゆる分野で激戦を続けているこの市場で、高度な環境関連や生産技術を持つ日系化学企業が今後、いろいろな意味で注目されてくるのは間違いない。とくに中堅・中小でオンリーワンの技術力を持つ日本企業に関心が寄せられているとされる。中国でのビジネスチャンスを通じた事業拡大、企業成長は同時に、中国企業からのM&Aという事態も経営課題に織り込む時期が来たことも肝に銘じるべきだろう。