【持続的成長と化学の力】(3) 日本触媒 池田全徳社長
社会貢献 人財こそ原動力
今後も中心は国内工場
東日本大震災は、直接の被害を受けなかった関西企業にもサプライチェーンの面で大きな影響を受けた。世界トップシェアを誇る高吸水性樹脂(SAP)をはじめ酸化エチレンなどを手掛ける日本触媒もその1社で、副資材などの調達で奔走したという。今後は複数購買、低品位の輸入品対応が求められるなか、池田全徳社長は「日本企業としては技術力でこのピンチをチャンスに変えるしかない」と言い切る。
※多かった1社購買※
▼ 今回の震災は産業界に大きな被害と教訓を残しました。
「震災では帰宅困難者の対応を痛感したが、何より複数購買と思われていたサプライチェーンが実は意外にも1社購買が多かった事実が露見した。1社購買の背景には、品種によって特定の1社の製品しか対応できない技術的理由のほか、この間のデフレやリーマン・ショックによる経費削減の徹底でコストに見合うところが1社だけだったことが挙げられる。今後は購買先を複数化したり、品質が多少落ちる輸入品でも使いこなせる体制を構築すべきだろう。そのためには、さらなる技術力向上が不可欠。それが新規製品開発にとどまらず既存製品のブラッシュアップにつながる」
▼ 一方で供給責任の問題があります。
「阪神淡路大震災の際にも問題になったが、地震が起きても大丈夫な堅牢な生産体制にするのか、それとも地震を受け入れつつ、いかに被害を小さくするかに分かれる。(地震と不可分な日本において)個人的には後者が妥当であり、一時的に供給不能となるが、それも含めてコストととらえ、即座に復旧できる備えを構築することがBCP(事業継続計画)であると思う」
※海外収益は日本へ※
▼ 最近は円高、電力問題などもあり、海外シフトが加速しそうですが。
「円高や電力問題は民間ではいかんともしがたい。新政権に期待するばかりであり、税制を含めて検討してもらいたい。円高は組立産業にとって非常に辛いであろうし、海外シフトも仕方がない。ただ、海外での収益は日本に還流し新たな製品開発につなげてもらうことが肝要だ。一方、化学産業は装置産業であり、資本集約型。需要があり政情も安定し原料も調達しやすいところがベストであり、人件費などはあまり影響しない。その意味で当社は今後も川崎製造所と姫路製造所が中心を担う」
※新エネで存在感を※
▼ 日本触媒はどんな存在であり続けますか。
「規模ではなく、社会にいかに貢献できるかが重要だろう。長期経営計画の理念にある技術で人と社会に豊かさと快適さを提供できる会社を目指すが、その前提は従業員が胸を張れる会社であり続けること。会社の原動力は従業員であり、人財あっての日本触媒だ。これは日本企業すべてに共通するのではないか。今後も関西を拠点に社会の一翼を担っていく。当面は長期経営計画が終了する2015年度に売上高4000億円、経常利益300億円、ROA7・5%を目指す。小規模ながら電子情報材料を1つの柱に育てていくほか、燃料電池材料など新エネルギー分野、健康・医療分野などでも存在感を高めていく。既存事業も一段の収益向上は不可欠であり、とくにSAPはアクリル酸とセットで、新立地を含めアジアでの新増設を進める」
(随時掲載)