始動した農林水産研究サイトの課題
農林水産分野の国際研究の促進を目的とする専用サイト「国際農業研究情報集積サイト(IRIS-AFF)」が、今夏立ち上がった。農林水産分野の研究開発力をパワーアップするため、研究者の持っている知識、経験を共有して情報交換が可能な国内研究機関間のネットワークの構築、さらに地球規模の課題解決に向け海外の研究機関との連携・協力の機会を拡大する役割を担う。農林水産分野の研究は地域特性が強いこともあって、栽培方法や農産物加工・流通などに関する技術やノウハウが閉鎖的になりがちである。この伝統的な考え方に転換を促し、基礎研究領域にとどまることなく、幅広い研究交流を通じて、知的財産権を生かして世界を対象に新たなビジネス創出を期待したい。
IRIS-AFFは、会員制の無料サイトで、農水省の国際研究ネットワーク事業として構築作業が進められてきた。日本語と英語による国際研究情報の発信と情報交換のプラットホームと位置付けている。
農林水産関係の研究は、対象領域が広いため、専攻が異なると交流の機会が少ない。学会や研究会を通じて共通のテーマに携わる研究者の間では、親密な交流が続いているが、まったく新しい視点からの研究や、発想の転換を呼び起こす環境が乏しいのも事実。それだけにプラットホームを生かし、異なる領域の情報を積極的に取り入れて研究の広がりに弾みがつくことが考えられる。
サイトでは、国内に多数ある農林水産研究系の研究機関の活用度を高めるとともに、国際情報に敏感になり、グローバルレベルでの農林水産研究を取り巻く新たな課題や動きを素早くキャッチする感覚を磨き、国内に広げていくことが大切である。研究者間の交流から研究機関間協力に発展させ、協定や連携を促進につながるネットワークの構築を目指す必要もある。国内で足元を固め、海外研究機関とスムーズな協力体制を築くことのできる信頼性ある窓口となってほしい。
共同研究の推進では人的交流の役割りが大きいが、組織間の協定になると研究費の負担問題が生じる。予算が一元管理されていればあまり難しくないだろうが、日本の場合、国と自治体それぞれの予算が絡むと、実施までに時間がかることも予想される。サイトは情報交換とイベントなどの情報発信にとどまらず、相談機能や国、自治体の間を取り持つ仲介役となるべく機能が付加されることを望みたい。まして海外研究機関との共同研究は、手続きが一段と複雑になるだけにきめ細かな対応が求められる。