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2011年08月22日 前へ 前へ次へ 次へ

「持続成長と化学の力」連載1 旭化成 藤原健嗣社長

旭化成藤原.bmp 東日本大震災と原子力発電所の事故は大きな被害をもたらしただけでなく、人々の意識、社会構造さえも変えようとしている。産業活動においてはサプライチェーンの寸断が大きな問題として取り上げられたが、化学素材の重要性も再認識されるようになった。震災後、持続的成長があらためて問われるなか、日本のモノづくりはどうなるのか、環境、エネルギーなどの諸課題の解決にどう取り組み、貢献していくか。以前にも増して化学が果たすべき役割は大きくなっている。経営トップに将来に向けた針路を聞いた。
※電力は大きな問題※
 -東日本大震災が日本経済に与える短中期的影響は。
 「当社でも昨年度決算で特損を出したほか、機会損失による営業利益の減少分を計上した。しかし今年度に入ると、思ったよりモノは出ているし、どの事業会社も滑り出しは良いようだ。問題は電力で、生産への影響と消費マインドの減退の2つが考えられる。とくに原子力発電に関連する問題は、中長期的な課題でもある。単に工場の電力だけの問題ではなく、ライフスタイルの変化など日本全体への影響が考えられる。自然エネルギーがベース電力になり得ないなか、本当に整合性を持ってエネルギー構造を変えていけるのか。むしろ技術的に安全な原発の使い方を英知を結集して確立すべきではないか。同時に廃燃料や廃炉の問題についても国際的枠組みで、しかも今すぐに取り組んでいく必要があるだろう」
 -日本のモノづくりを再評価するとすれば 。
 「あえていえば、モノづくりが強かったからこそ、(産業面は)これくらいの被害ですんだといえるだろう。他国だったらこんなに早く立ち直ることはなかったはずだ。メンテナンス、材料、支援体制など、社会としての厚みがある。今度の震災で認識すべきことの1つは、日本のモノづくりは強いということだ」
※日本発の標準化を※
 -日本でのモノづくりは将来どうなりますか。
 「今回の震災で供給に影響が出たキーマテリアル、キーコンポーネンツのほとんどが日本の発明によるものだ。しかし、これらは1つひとつの量が少なく、今度の震災でジャスト・イン・タイム方式で対応できないことが分かった。在庫を持つなり、ベンダーを多様化するなりの対応を図っていくしかない。一方でバルキーなものはやはり海外で生産するということになるが、その場合に重要なのは次世代領域において日本発の標準化を確立すべきということだ。また、汎用品であっても特殊化の動きがさらに強まり、ジャスト・イン・タイム方式で供給を継続する小ロット製品もなくなることはない。汎用といえども材料の2極化が進むことになり、大震災がそのきっかけとなるのではないか」
※住宅事業を強みに※
 -そうしたなか、旭化成が果たすべき役割は。
 「新興国の成長と日本市場の成熟、資源不足や温暖化・環境問題の深刻化、高齢化といったメガトレンドが進行するなかで、これらのニーズを先取りし機会を獲得していきたい。今年度から新しい中期経営計画をスタートさせたが、そこではグループ理念として『世界の人びとの"いのち"と"くらし"に貢献』を掲げ、『健康で快適な生活』『環境との共生』の視点から昨日まで世界になかったものを世界に提供していくことを目指している。具体的には環境・エネルギー関連、住・くらし関連、医療関連に持っている材料を落とし込み、新たな需要に対応していくことになる。『融合』をキーワードに、幅広く展開している事業や事業会社間、外部との連携を深め、新しい社会価値を創り上げていく。震災後の日本に求められているのもまさにこれではないか。とくに当社は住宅を事業化していることから、各種の価値や機能をコンバインする場としての『家』、さらにはコミュニティーそのものを提供していけると楽しみにしている」
(随時掲載)



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