マイナス成長回避へ直面する課題
今年4-6月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比0・3%減(年率換算1・3%減)となった。3期連続のマイナス成長だが、民間の0・7%減程度の事前予測に比較すると落ち込み幅は小さかった。個人消費の持ち直しが下支えする半面、輸出が大きく落ち込んだ。与謝野馨経済財政相は、このマイナス成長は東日本大震災の影響が大部分で「(回復に転じた)景気の局面が変わったと判断するには至らない」と指摘した。
4-6月期GDPの内外需別の寄与度は、内需がプラス0・4%、輸出から輸入を差し引いた純輸出(外需)がマイナス0・8%。GDPの6割近くを占める個人消費は3期連続のマイナスになったものの、0・1%の微減にとどまった。地デジ対応薄型テレビなど耐久財が好調だったほか、衣服など半耐久財もプラス。民間設備投資は0・2%増ながら2四半期ぶりのプラスになった。また震災復旧に向けた政府支出や仮設住宅など公的需要も増加した。
これに対し、サプライチェーン寸断の影響を受けた自動車、半導体などが大きく減少して、輸出は前期比4・9%の落ち込みになった。ただ、サプライチェーンの修復は順調に進み、7月以降の自動車生産は震災前の水準に回復しつつある。
このため、7-9月期のGDPは4期ぶりにプラスに転じることは間違いないだろう。政府は先週、2011年度のGDP成長率を当初見通しの1・5%から0・5%に下方修正したが、この実現にも残り3四半期に平均1%近い成長が必要になる。
サプライチェーンが正常に戻り、被災地を中心に復興需要もこれから本格化することは景気の押し上げ要因になる。さらに企業の設備投資は増加に転じるなど、足元の景気には明るい材料が増えている。一方で円高、資源価格の高騰、さらに欧米の財政危機や中国など新興国のインフレ懸念など、先行きの不透明感が一段と広がっている。
直近では、08年4-6月期からリーマンショックを挟んで、09年1-3月期まで4期連続でGDPが減少した。輸出の激減が最大の要因だったが、今回は輸出に持ち直しの動きを見せていることで、当面のマイナス成長は回避できる。ただ欧米の財政問題は、これまで経験したことのない経済危機だけに各国政府の国際協調に基づく適切な対応が不可欠だ。
日本経済にとっては、季節調整済みGDPデフレーターが9四半期連続で前期比マイナスになり、名目GDPが実質GDPを下回る「名実逆転」に歯止めがかからない。デフレからの脱却なしには景気回復を実感できない。