日揮・川名浩一氏
▽ 50歳代で社長昇格という異例の人事でしたが、打診を受けたときの感想は。
「率直にいって『驚いた』というのが最初の印象だ。幸い当社には経験豊富な先輩方が多くいるので、こうした人達の力を借りて最善を尽くしたい。激しいグローバル競争が続くエンジニアリング業界で、当社グループでは1万弱の人たちが働いている。若い力の突破力を期待しての判断だったと思う。エンジ業界がダイナミックに変化するなか、私としては120%の力を発揮していく考えだ」
▽ 新中期経営計画が始動しました。
「新中計『ニューホライズン2015』は、コアビジネスである各種プラントの設計・調達・建設(EPC)ビジネスの拡大に加え、事業投資や企画・サービスマネジメントといった非EPCビジネスの領域を一段と加速することを主眼に置いた。このため売上目標は掲げず、5年後に純利益で500億円の達成を経営指標としている」
▽ EPCビジネスの戦略について。
「石油、天然ガス、石油化学などハイドロカーボンのEPCビジネスでは、新興国市場などで引き続き活発な設備投資が予測され、当社は主力事業として独自の高度技術を武器に市場でのプレゼンスを高める。同時に国内の石油精製、石化メーカーも有力顧客であり、国内事業に加えて海外進出の際には積極的に貢献できるよう努力する」
「また世界のエンジ業界では、韓国・欧州企業など海外勢との競争が激化しており、当社は徹底したコスト削減や技術的優位性などを前面に、高度化する顧客ニーズに応える。今後、大型プロジェクトは日揮本体が司令塔となり取り組む一方、中規模プロジェクトは世界各地のEPC子会社が中心になるだろう。グループ全体の連携をより緊密化し、総合力で受注確保を狙う」
▽ ノンハイドロカーボン分野の市場が拡大しています。
「非鉄金属、病院・医薬プラントなどが堅調に伸びている。メディカル関連の施設分野で当社は業界トップのポジションにあるが、施設の建設にとどまらず病院経営のソフト面を含めた高付加価値の提案活動で顧客を支援していく」
▽ 事業投資の考え方は。
「すでに世界各地で水事業、発電事業、石油・ガス開発生産事業、新エネルギー(太陽熱、石炭スラリー)事業へ参画しているが、新中計では投資ビジネスをさらに大きく育成しEPCに次ぐ柱とする。新興国の社会インフラ整備はますます拍車がかかるだろうから、良質な案件には積極的に投資する」
▽ 日系企業のグローバル化が一段と進んでいます。
「当社は約50年前から海外市場でさまざまなプロジェクトを遂行し、豊富な実績とノウハウを持つ。日系企業の海外進出にともなう工場建設などにはこうした知見が役立つ。総合エンジ会社として高度な技術サービスを提供できることが最大の強みだと信じている。多種多様な機器を組み合わせシステム化を図り、トータルサービスで差別化を徹底していく」
(聞き手=堀口昇)
略歴
〔かわな・こういち〕 慶応義塾大学経済学部卒、1982年(昭和57年)日揮入社。01年ロンドン事務所長、06年営業統括本部新事業推進本部長代行、07年執行役員営業統括本部新事業推進本部長代行、09年常務、10年副社長、11年6月社長就任。東京都出身、53歳。
横顔
格闘技が好きで、大学時代は相撲部に所属。海外駐在員時代には外国人に相撲の魅力や精神性を説明した。なかでも「土俵は丸い。だからこそ無限の可能性を秘めている」と話す。土俵際に追い詰められても「左右に動くことで形勢逆転が可能だ」という意味で、困難な情勢のなかでも決してあきらめないことの大切さを説く。