窮地に追い込まれる日本のものづくり
節電の夏が始まった。梅雨明けの夏の清々しさを楽しむこともなく、連日の酷暑に音を上げそうになる。15%の電力使用制限は、この間の政府の迷走で「長期戦」の懸念が高まる。暑さを我慢すればなんとかしのげる問題ではないだけに、なんとも厄介だ▼日常生活の見直しは仕方ない。しかし、急伸する円高と電力不足がもたらす日本経済への打撃ははかり知れない。日本のものづくりはまさに、窮地に追い込まれている▼今、国内には明日を語る明るい話題はない。しかし、外に目を転じれば、そのダイナミズムは強烈だ。2001年、米ゴールドマンサックスが「BRICs」という成長市場の出現を提唱した。事実、中国など新興国の経済成長は顕著である。日本もこの大きな経済潮流の恩恵を受けてきた▼同社がBRICsの後に続くとみるのがメキシコ、インドネシア、韓国、トルコの後続国である。BRICsとこれら後続国を合わせた「成長市場」が今後、世界の国内総生産(GDP)の60%を占める可能性があるという。ちなみに、50年時点で日本がトップ10に入れるか判然としない▼「原発問題」に振り回されて、4カ月余り。1年前に意気込んだ政府の「新成長戦略」は雲散霧消したかのようだ。今、ここにある危機を正視し、論議を巻き起こす時期である。