転換期を迎えた石化製品の輸出入
石油化学製品の輸出の縮小傾向が鮮明になる一方で、輸入品が着実に増えている。経済産業省がまとめているエチレン換算輸出入によると、エチレン系石化製品の輸出は昨年12月から6カ月連続で前年同月を下回った。これに対して輸入は2010年2月から16カ月連続増加、5月の輸入比率は19%まで上昇した。とくにポリエチレンの輸入が増加しており、エチレンを含めて石化工業の構造改善を迫ることになりそうだ。
日本の石化工業は内需に依存してきたが、アジアの経済成長によって輸出が増加に転じ、とくに21世紀になると輸出比率は30%程度まで上昇した。世界同時不況が深刻化した08年は輸出が激減したが、逆に09年は輸出回復に支えられて石化設備の稼働を押し上げた。
しかし、10年になると基調に変化がみられ、エチレン系製品の輸出は前年比17%減になり、輸出比率は8ポイント近く低下した。世界的に石化設備の新増設が進み、コスト競争力の弱い日本製品の輸出は頭打ちになった。この傾向は11年になっても解消せず、とくにポリエチレンの不振が目立ち、LDPEに関しては輸出入バランスが逆転して入超が定着している。
エチレン系製品は、エタンを原料に圧倒的なコスト優位を持つ中東石化製品の影響が大きいが、競合が少ないとされるポリプロピレン(PP)でも輸出が伸び悩み、輸入が増加傾向にある。さらにレジ袋に代表される樹脂製品の輸入が高水準に推移しているが、この背景に東日本大震災によるサプライチェーンの寸断によって、これまで石化製品の輸入に慎重だった食品関連などの需要家も輸入に動いたこともある。
日本の石化工業は輸出によってコンビナートの操業をキープして、90年代半ばから年700万?規模の生産を継続してきた。国内需要は500万?強だが、200万?近いネット輸出という需給バランスが続いたが、このパターンを維持することが難しくなりつつある。
とくにPPを含めたポリオレフィンの先行きには悲観論が強まっている。石化企業の収益をみてもカプロラクタム、フェノールなどの基礎化学品は堅調に推移する一方で、樹脂の貢献度は極めて限定的だ。プラントは国際規模に達しておらず、多品種少量生産から脱しきれない。これまでは、国産品は高品質によって安定供給が可能だったが、自動車や家電など工業用途から食品分野まで価格の安い輸入品に切り替える動きが強まるだろう。ポリオレフィンの動向は、石化産業の根幹を揺るがす衝撃を持っているだけに、明確な戦略構築が喫緊の課題になる。