急がれる自動車部品産業の体質強化
日本自動車部品工業会がまとめた自動車部品工業の経営動向によると、2010年度は政府の景気刺激策や新興国を中心とする旺盛な海外需要を背景に、売上高は前年度比12%超のプラスとなった。リーマンショック以降の合理化や生産体制の再編によって利益も回復しており、営業利益および経常利益が9割前後の伸びを記録するとともに純利益が3倍強に拡大した。
しかし、上期対比でみると昨年9月のエコカー補助金の終了などによって、下期の売上高は1%のマイナス。利益も営業・経常・純利益ともに20%前後の減少となった。とくに東日本大震災により3月は自動車生産(四輪車)が前年同月比57・3%減、二輪車も41・5%減と過去に例をみない落ち込みとなっている。
厳しい事業環境は今年度も続く見通しだ。ここに来て自動車生産は当初予想を上回るペースで回復しつつあり部品メーカーの受注も戻ってきている。しかし、電力供給問題が全国規模に広がるなか、原材料の値上がりや勤務シフトの変更による労務費の増加といったコストアップが予想されるが、それを自社努力で吸収できる状態にないのが実情で、完成車メーカーやティアワン(T1)などに比べて財政基盤が脆弱なT2、T3で不安感が高まっている。
こうした状況のもと、日本自動車工業会では新たに日本政策投資銀行と共同で自動車関連企業を対象としたサプライチェーン・サポート・ファンドを発足、中小企業の資金繰りに対する支援に乗り出した。このファンドの特徴は同工業会の会員であるT1を通じてT2やT3に投融資をおこなう点。これにより技術力を有する中小企業に対して効率的かつ確実に必要な資金を供給し、国内サプライチェーンの維持・存続を図る考えだ。
今月発表された自動車戦略会議の中間とりまとめでも、国内市場の活性化や国際的な競争条件のイコールフィッティングと並んで強靭なサプライチェーンの再構築に関する提言が盛り込まれた。そこでは川上・川下連携による新しい部素材の開発・導入の加速や部素材企業の体力強化の必要性が指摘されており、震災後の短期的な資金繰りとともに、設備投資や研究開発に対する政策的な支援や財務基盤強化を目的とした資本性資金を供給する機能などを官民で整備していくことを求めている。
今回の震災では、日本企業および国内拠点がなお高い競争力を有していることが示された。この優れた産業基盤こそが日本のものづくりの源泉であり、この強みを進化・発展させた新たなサプライチェーンを構築できるかが今、問われている。