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2011年06月24日 前へ 前へ次へ 次へ

「明日への対話」5 持続的ものづくりと化学産業

 橘川 よくいわれることですが、自動車はトヨタが世界一になった。家電だったらパナソニックが世界一だったことがある。で、どうも化学は企業の規模が小さいのではないかと。産業や企業の強さと大きさとの関係はどのようにお考えでしょうか。
 小林 やはり一定の規模は必要でしょうね。日本の場合は300年企業、200年企業というのが結構多くて、それも単品の会社が多いですよね。今回もシェア70%だけど売上高100億円とか1000億円くらいの会社の強さがいわれている。しかし、今後の強さというのは災害に強いとかサステイナビリティの側面を考えると、一定程度の規模が必要ではないかと。個人的には、日本がせめてBASFやダウやバイエルに勝っていくためには、2倍くらいの会社には当然ならないとと思っています。そのくらいでないと、本当に大きな研究開発もソフト化もそう簡単にいかないんじゃないか。
 橘川 そこをお聞きしたいのですが、ここまでのお話では高付加価値にいかなきゃいけないと。ハイエンドを攻めるということですよね。5回目.bmp
 小林 やっぱりね、2極化なんですよ。
 橘川 両方やらなきゃいけないということですか。
 小林 強いもの、世界シェアで1番から3番ぐらいのもの、当社でいえばMMA(メチルメタアクリレート)、PTA(高純度テレフタル酸)だとか、ポリカーボネート樹脂、PP(ポリプロピレン)のコンパウンドとかですね。こういうのはグローバルに勝負をする。それで、日本や欧米ではもう付加価値の高いものでないと生きていけないだろうと。グローバル化とはまさにディカップリングで、そのディカップルした2つの核に合わせることだと思うんですよ。
 橘川 ということは、戦略は2つあるわけですよね。
 小林 ええ、デュアルでやるしかない。
 橘川 経営書「イノベーションのジレンマ」の著者で有名なクリステンセンは...
 小林 ハードディスクを例に挙げたあれですね。
 橘川 ええ。同じ会社でこの2つをやるのは無理とはいわないが、相当難しいぞと。組織を2つに、所在地も2つに分けるぐらいしないとできない。
 小林 当社はそのうえ薬もあるんです。だからホールディング制なんです。それぞれのポートフォーリオをどうマネージし、どれだけ資本効率が良いかというのを一方でみながら、ヘルスケア、コモディティ、加工、情報電子のアプリケーションという程度に事業をまとめる。そういう枠でもって化学を基本に据えてトータルにやって、はじめてグローバルのケミカルカンパニーとして存在意義が出てくる。
                       (つづく)
【写真説明】
総合化学メーカーが勝ち残るためには世界市場で通用する汎用品も必要(インドのPTA製造設備)


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