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2011年06月23日 前へ 前へ次へ 次へ

「明日への対話」 連載4 持続的ものづくりと化学産業

連載4有機EL2.jpg.jpg 橘川 これからの時代における日本の化学産業の攻めどころは。
 小林 結果としては、どうやら秘伝のたれ、マイクロファブリケーション的なケミストリーというか、そういうものは日本が強いなと。それは今回の震災でも明確になりました。今後、向かう方向は環境、新エネルギー、ヘルスケアです。民主党が2009年12月30日にいった、いわゆるグリーンイノベーションとライフイノベーションという言葉には同意しますね。もう、このフィールドで勝っていかないと、日本の明日はまったくないに等しい。
 橘川 汎用ケミカルの分野は。
 小林 汎用品の世界は、これほどのハンディキャップレースはない。中東の天然ガスに続き今度はアメリカやカナダでシェールガスが出てきた。まともに国内で戦うほうがおかしいと、僕はみています。市場のあるところか、資源のあるところでの展開以外考えられなくなっています。国内では川上に遡る思考よりは、いかに川下で勝負するか。ファインケミカル、スペシャリティケミカル、スペシャリティプロダクト、ヘルスケア、環境ですよね。当社でやっているのはLED(発光ダイオード)、リチウムイオン電池、有機EL(エレクトロルミネッセンス)や、サスティナブル・リソースといっていますが植物由来のポリマーあるいはライフサイクルアナリシス(LCA)でのエネルギー消費が少ない炭素繊維とか軽量化部材ですね。これがやっぱり日本の化学会社の攻めるところかなと。
 橘川 近年、日本はノーベル化学賞の受賞が多いですよね。日本人の思考能力や文化とケミカルとは、どこか合うところがあるのでしょうか。
 小林 最近受賞したのは1970年代から80年代の研究が多いですよね。あの当時はそうなんですけど、今はちょっと違うのかなと。サイエンスとしてロジカルに考えるんじゃなくて、スクリーニングして一意専心、錐でもむように合成するメチルエチルケミストリーというか、銅鉄主義というか。
 橘川 労力を厭わない文化がある。
 小林 優秀なシェフに似ています。混ぜご飯のように、あれとこれをちょっと入れて秘伝のタレも入ると、これ美味しいじゃないかと。シンセシス(合成)であってアナリシスではないんです。
 橘川 すでにあるものを総合して面白いものを作るということですね。実験能力が高いってこともありますか。
 小林 器用なんでしょうね。ただ、抽象化したり、ある仕掛けを作ったりということになると、ユダヤやアングロサクソンに勝てない。金融工学なんていうのはそういうレベルの人がやるんでしょうね。日本人はモノにソフトウエアをくっつけるあたりが1番強い。そうするとケミカルというのは1つの解かなと。
                            (つづく)
【写真説明】
国内の事業は川下分野でいかに差別化できるかがカギを握る(展示会に出展した有機EL照明)


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