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2011年06月15日 前へ 前へ次へ 次へ

震災が教えた人の絆

 逆説的だが、楽に死ぬ方法は健康で長生きすることだという。生まれ落ちた瞬間から、死への時計の針は刻々と動きだす。充実した人生を送り、最後は家族に看取られて元気にコロッと逝く。このことは誰しもが願うことだろう▼厚生労働省が最近発表した2010年人口動態統計によると、死亡数は119万7066人で、死因はがんが約3割を占めた。心疾患、脳血管疾患に続く4位は肺炎、5位は老衰である。肺炎は高齢者に多く、近い将来は3位になるとみられている▼理想は老衰だが、高齢での肺炎はそれに近いかもしれない。がんにはなりたくないが、いまや2人に1人がかかり、3人に1人はがんで死ぬ。自分だけは大丈夫という、根拠のない思い込みや自信は禁物だろう▼東日本大震災の死亡者が1万5000人を超え、行方不明者は約8000人に上る。不慮の災難への無念さは計り知れないが、震災を契機に生涯のパートナーを得ようとする人が増えていると聞く。死への恐怖が駆り立てているのだろうか▼昨年の婚姻件数は70万組、離婚件数は25万組で、結婚が減り離婚の割合が年々増えている。震災は人の絆の大切さと、周りの人を大事にすることが自分の幸せになることを改めて教えてくれた。死生観や結婚への意識もよい方向に変わっていけばと願う。


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